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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第二十八章 目指す場所へ《4》
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 セーランは上げた左手を下ろし、映画面|《モニター》を押して停止の文字が通信開始の文字へと変わる。
 これと同時に日来学勢院高等部の校庭に集まった高等部の学勢達、各持ち場に付いている社交員の前にセーランが映っている映画面が表示される。
 彼らは今は黙って、覇王会会長の言葉を待っていた。
 息を吸い終わったセーランはにやりと笑い、ゆっくりと口を開く。
「日来独立まで後一踏ん張り、これを抜けたら宇天学勢院の覇王会会長を救う戦いの始まりだ。きっと厳しい戦いになるだろうけど頑張ろうぜ」
 空間移動のために通っているここを抜ければ、辰ノ大花近くに日来は着く筈だ。
 もう黄森と辰ノ大花には連絡が行っている筈なので当然、着いたらすぐに戦闘へ突入するだろう。
「日来が出航したときも言ったけどさ、これは日来独立のための戦いでもあるんだ。でも、もしこれからの日来に不安があって、一緒にいられなくなったら。その時はどんなとこでも、どんな時でも離れてくれて構わねえ。
 俺達、日来が世界に対してこれから行うことは正義の行いじゃないからさ、もしかしたら世界の敵になるかもしれねえ。だからこれだけは言っておく。
 まずは自分の身を守ることを第一にしろ。そのために日来に迷惑掛けたとしても、誰もそいつを恨むな」
 一息付くため間を空け、空気を肺に送り込む。
 飲み込むように喉を動かし、次の言葉を発する。
「俺はまだ世界のことをよく知らねえ。世界のために何が正しくて何が間違っているのか、まだ知らない。だけど動き出さねえと何も解からないままってことは知ってる。皆はとっくに知ってるかもだけどさ」
 ははは、と軽く笑う。
 視線は映画面に向けたまま、笑みを崩さずこれを見ているであろう者達を見る。
 目に見えているわけではない。そう思っているだけであるが、こうすることで皆はよく話を聞いてくれるのだ。
 だから視線はそのままにし、言葉を彼らに飛ばす。
「行こうぜ! もし何が間違っていたら誰かがその間違いを指摘してくれる。
 やってやろうぜ! 後悔なんて行動した後にだって何時でも出来る」
 声が皆に届いているかは分からないが、きっと届いていると信じて声を出す。
 自分の意志を言葉に変え、真っ直ぐに声を放つ。
「長い間人形状態だった俺達でも、きっと俺達にだって未来は変えられる。そのために頑張ろうか、一人一人の力合わせてさ。――信じてるぜ」
『『了解――!!』』
 セーランの周りに無数の映画面|《モニター》が現れた。それら全ては“了解”の一言だけを言うだけで、他の言葉は口に出なかった。
 身体を三百六十度回し、自身を囲む映画面に映る者達を目に焼き付ける。
 これから共に行く仲間達、同胞達の覚悟したその瞳をだ。
 子ども、大人、老人。男性、女性とそうじゃないの。神
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