ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
死の弾丸
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の遭遇だった……。
だが、何故?キリトと目的が同じならば、《死銃》の噂が広まる以前に何故、この世界に――、
突如として飛来した一筋の弾丸が思考をせき止める。
途端に体が硬直し、動けない。
着弾点を見ると、銀色の針が刺さっていた。そこから発生した糸のようなスパークが、シノンの腕から全身へ流れ込んでいる。
電磁スタン弾。
ペイルライダーを撃った、あの弾だ。だが、どうやって……!?
その答えは視覚によってもたらされた。20mほど離れた何もない空間、そこから人影が現れた。
ばさり。
風に翻るダークグレーの布地の毛羽だった長いマント。頭部を覆う同色のフード。
――《死銃》――アキュラシー・インターナショナル・L115A3を操る沈黙の暗殺者
幽霊が滑るように近づいてきて、シノンから2m程の距離で止まり、しゅうしゅうと軋むような囁きが流れ出した。
「……キリト、レイ。お前達が、本物か、偽物か、これではっきりする。……あの時、猛り狂ったお前達の姿を、覚えているぞ。この女を……、仲間を殺されて、同じように狂えば、本物だ。さあ……、見せてみろ。お前達の怒りを、殺意を、狂気の剣を、もう一度、見せてみろ」
そう言って懐から取り出したのは、ペイルライダーを殺したあの黒い銃だ。
月明かりがそれを差し、正体が露となる。ゾクッ――……。
体が動かない、いや、頭が働かない。
円の中に、黒い星。
黒星54式。
シノンのトラウマである、根本的な問題。
……この銃を持った敵を倒す。それが、この世界で戦い続ける訳。しかし―――、
思考が停滞したシノンはその銃を見上げる事しか出来ない。
巨大な諦念が頭を支配する。何もかもが無駄だった。過去を断ち切ろうと足掻いてきた事に意味は無かった。
(……せっかく)
ようやく解りそうだったんだ。《強さ》の意味、戦う事の意味。
あいつの隣に居れば――……
幾重もの銃声が轟き、仮想の空気を掻き乱す。
「間一髪、かな?」
「オイコラ、エイコッグ。当てんなら脳天に当てろや」
「ムリ。僕そこまで精密射撃できませーん」
「なら何故やったし……」
「……お2人さん、漫才なら他所でやってくれ」
死銃の黒星は白煙を上げているが、シノンは死んでもいなければ、ダメージもない。
対して死銃は右肩と左肩からオレンジのダメージエフェクトが瞬いている。
現れたのはアサルトライフルを構えた『エイコッグ』、さらに前大会10位で機関銃使いの『ルージュ』。そして――、
「貴様……『紅き死神』!!」
「やあやあ、久しぶりじゃないか……で、誰だお前」
言うなり左手が閃き、瞬間、死銃の左頬から激しい
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