第177話
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整えられた女性のアナウンスが流れる。
外国語なのだが、単純に英語とも思えない。
それを聞いた土御門は渋い顔つきになる。
「そろそろ時間が無くなってきたみたいだにゃー。
カミやん、本当に大丈夫か。
辛かったら深呼吸してみろ。」
言われるがまま、ゆっくりと深呼吸する。
やっている内に気分が良くなった気がした。
しかし、実際の顔色は悪いのか土御門は上条の顔色を窺った時に表情を曇らせた。
「こりゃ一度吐ちまった方が楽になるんじゃねーの?
ほらほらカミやん、案内するからこっち来いこっち。」
土御門はそう言いながらシートベルトを外して席を立つ。
旅客機が飛んでいる最中にシートベルトを外して席を立つのはよろしくなった気がする、と頭の中で朦朧と考えながらでも、土御門は気分を良くしてくれようとしているのでのろのろとシートベルト外して席を立つ。
麻生も同じように外して上条の後に続く。
通路を歩き、扉を開け、細い通路を歩き、頭がぶつかりそうなほど低いハッチを潜り抜け、金属が剥き出しで何やら周囲から轟々と音のする所まで歩いて行った。
どこにいるのか分からない上条は小首を傾げながらも着いて行く。
土御門は上条と麻生にリュックサックのような物を渡す。
「はいこれ付けて。」
「?
土御門、これって一体・・・」
「大丈夫大丈夫。」
何が大丈夫なのかさっぱりだが、麻生は何も言わずにリュックサックを付けているのでとりあえず上条も習って付ける。
土御門もすでにリュックサックのベルトを身体に巻いている。
傍から見て、リュックサックの両肩やお腹や胸にベルトを固定されいる方式の、何やらやたらゴツい仕組みだ。
見よう見まねで固定器具を留めていく。
「よし、二人ともオッケーだにゃー。」
壁についている缶詰の蓋くらいの大きなボタンに掌を叩きつけ。
「じゃ、思う存分吐いちゃおうぜーい!!」
ごうん、と何やら妙な音が聞こえてきた。
何かの太いポンプが動いているのだと判断した瞬間、ガバッと唐突に機体の壁が大きく開き、その向こうに青空が見えた。
状況が掴めず目が点になった上条だが、強烈な烈風が機内に吹き荒れ、あっという間に全てが機体の外へ放り出されそうになる。
「つっ、つつつつつつ土御門ォーッ!?」
慌てて機内の壁の突起に両手をかけたが、何秒保つかも分からない。
轟々と風が流れる中、土御門はニヤニヤと笑いながら。
「さあカミやん、準備は終わったから思う存分吐いちゃうにゃー。」
「吐いちゃうにゃーじゃねぇよどうなってんだ!!」
「馬鹿正直にフランス空港に着陸しちゃったらローマ正教のクソ野郎どもにバレちゃうにゃー。
あくまで隠密。
忍者の如く、極力見つからないように
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