暁 〜小説投稿サイト〜
東方守勢録
第二話
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
代償は大きかったのか、自分たちの力不足と判断力のなさを実感し、各々反省していた。

特に俊司に協力を求めた文はひどく落ち込んでいた。椛曰く「文さんが落ち込むのはめずらしいですが、すぐに元にもどりますよ」と言っていたが、実際にその翌日、文はすっかり元気を取り戻し情報の整理と、判断力を身につけるための特訓を行っていた。

そんな状況のなか、半人半霊の庭師は早朝から修業に励んでいた。


「はっ!せいっ!!てやっ!」


一振り一振り入念に行っていく妖夢。

俊司が捕まって以来、やっぱり自分は力不足だと言って修業を行っていた。あの状況で何もできなかった自分を悔み、それをすべて修業にぶつけていた。

そのためか、大した成果は見られなかった。


「ふう……さて、休憩しますか俊司さ……あ……」


妖夢は背後を振り返るが、最近までいた少年の姿はどこにもない。

軽く溜息を吐きながら再び気合いを入れると、妖夢は再び剣を握った。


「癖って怖いわね〜」

「うわっ!?」


突然背後から声をかけられ驚いたのか、妖夢は体を震わせながら剣を落とした。


「なっ……なんだ……幽々子様でしたか」

「なんだとは失礼ね妖夢。心配になったから見に来てあげたのよ?」

「心配って……」

「ずいぶんと思い詰めてるみたいね?」

「……」

「言わなくても分かるわよ?あなたの太刀筋はあの子がいたときと全然違う。今のままじゃ何もできないわよ?」


図星だった。

妖夢にも今の自分は全くダメになっていることは気付いていた。もちろん、俊司がいなくなったことだけでなく、なにもできない自分にいらだちを覚えていたからだ。

だが、何をしても直ることはなく、途方にくれていた。


「まったく……それでも私の剣術指南役なのかしらぁ〜?」

「すいません……」


謝る妖夢をちらっとみた幽々子は、なぜか笑みを浮かべていた。


「で? いつ頃からなの?」

「……は?」

「だから、いつごろから俊司君が好きになったの」

「え……あ……ふぇ!?」


予想外の質問を受けて妖夢はへんな声を漏らしていた。


「なななっ何を言ってるんですか!?」

「とぼけても無駄よ〜? あなた普段あの子と一緒にいるとき、どことなく嬉しそうな顔をしてるじゃない?」

「そっそんなこと……」

「それに特訓してほしいって言われた時、ものすごくうれしそうにしてたわよね〜?」

「それは……そうですが……」


徐々に顔を赤くしていく妖夢。そんな彼女を面白そうにみる幽々子は、そのまま確信の一言をついた。


「あの子に会う時、無意識に自分の身なりを気にし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ