第二話
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んかに入って……勉強できんのかよ」
「家庭教師みたいなかんじかな。きちんと基礎は学んでるよ」
それから数十分間、時間がゆるす限りたわいない話を続けた。6年も会っていなかったこともあり、話題はつきそうにはなかった。
だが、由莉香がある話題をだした瞬間、会話が止まってしまった。
「ところで、俊司君のお父さんとお母さんは?」
「えっ……」
「昔よくお世話になったからさ、またお礼を言いに行かなきゃって」
「あ……そうだな……あははっ……」
「俊司君?」
「……」
由莉香の問いかけにも俊司は答えようとしない。由莉香は少し不安そうな顔をしながら俊司を見ていた。
「父さんと母さんは死んだよ」
「えっ!?」
「俺が高校に上がる頃に……原因はわかってない」
「そう……だったんだ……ごめん」
一瞬なんともいえない雰囲気が二人を襲う。俊司はなんとかこの場を何とかしようと、話を続けた。
「いいよ。もうわりきったんだ」
「鈴ちゃんは?」
「元気にしてる。あいつも会いたがってるよ」
「そっか」
由莉香はそう言って笑みをこぼした。
「もう時間だね。行かなきゃ」
「ああ。またな」
「またね俊司君」
由莉香は去り際に軽く手を振った後、静かに扉を閉めた。
施設内 捕虜監視室
再び牢屋の中に戻された俊司は、咲夜たちに上条が言っていたことを簡潔に分かりやすいように伝えた。革命軍がどういった技術でここに来たのか、本当の目的はなんなのか、それを聞いた咲夜たちは怒りを隠せずにいた。
「幻想郷だけでなく外の世界まで……あいつらは何を考えてるの!?」
「そのためにここを利用するということか……まったく、迷惑にもほどがある。これでは私達はどうなってもいいみたいな言い方じゃないか」
「はい。おまけに、ほとんどの兵士はそれを知らないらしいんです」
「騙されてるんですか? 私みたいに」
「たぶん……」
一度騙された経験があったからか、早苗はどことなく複雑な表情をしていた。
いいように扱われる兵士・日本をのっとり世界を侵略する計画・そのために足場にされる幻想郷、なんとかしないと取り返しのつかない状態に陥ってしまう。俊司はいろいろと考えてみるが、今の彼らにできることなど何もない。
ただただ時間は過ぎていくばかり。俊司は何もできない自分を悔んでいた。
二日後 永遠亭
俊司が捕まってからはや二日が経過しようとしていた。
予想外の出来事に、紫達の士気は一瞬大きく低下していた。最後の希望だった俊司を失った。その
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ