第一幕その八
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いて身体をさらに奥へ隠そうとする。
「どうしたんですか、お二人共」
市民の一人がそれに気付いた。
「いや、何も」
二人はそれを必死に誤魔化す。その間もアメーリアの告発は続く。
「その時刻私はいつも浜辺を散策しているのですがその時三人の暴漢に取り囲まれ小舟に押し込まれたのです」
「それはご災難でしたね」
貴族出身の議員の一人が言った。彼はガブリエレと親交のある議員である。
「はい。そして私が連れて来られたのはロレンツィーノの邸宅だったのです」
「何とそれでは彼の言った事は正しかったのか」
皆ガブリエレの方へ顔を向けた。
「そうです。そしてその邸宅にこの方が駆けつけてくれたのです。偶然私がその邸宅に連れ込まれるのを見て」
「それは非常に幸運でしたね」
その貴族の議員が言った。そうしてガブリエレを擁護しようと話を回そうと仕向ける。
「はい。これも神のご加護とこの方のお力あっての事です」
「では貴方はレディーを救った高潔な方ということになる」
議員はそう言ってガブリエレを見た。
「その通りです」
アメーリアもそれに同意した。彼女はさらに言葉を続けた。
「しかしロレンツィーノの後ろには黒幕がいたのです。私はそれを告発する為にここへ来たのです」
「それは誰だ!?」
「まさか・・・・・・」
群集達の脳裏に先程のガブリエレの言葉が浮かぶ。
「いえ、総督ではありません。総督は私を常に護って下さいます」
彼女はそれを否定した。シモンはそれに対し目でアメーリアに礼を言った。
「では誰なんだ」
群集達が少し前に出た。その時パオロとピエトロの姿がアメーリアの目に映った。目が合った。
それを見たアメーリアの目の色が変わった。パオロとピエトロの顔がさらに青くなった。最早蒼白である。
「その者は今ここにいます」
「えっ!」
アメーリアの言葉に一同騒然となった。
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