第一幕その七
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を聞いて狼狽した。
「いや、それは本当か」
だがそれをすぐに打ち消した。そして再び問うた。
「ええ、本当です。そして死に際にある事を言い残しました」
「ある事!?」
パオロとピエトロはそれを聞いて顔を蒼ざめさせた。
「どうせ嘘に決まってる」
民衆の中の何人かが囁いた。だがガブリエレはそれに構わずに言葉を続けた。
「あの男が言いました。ある人物に唆されてやった、とね」
そう言ってシモンを見た。眼には憎悪の炎が宿っている。
「おい、まずいな」
「ああ、完全にばれている」
パオロ達は完全に蒼ざめている。そしてヒソヒソと小言で話し合う。
「そしてその男の名は!?」
シモンは冷静さを装って尋ねた。
「御安心下さい。あの男はそれを言う前に息絶えました」
口の端を歪めて皮肉っぽく言う。それは明らかな揶揄だった。
「嘘だな」
シモンはそれに対してすぐに言った。
「本当は誰だか言い残しているな」
「お聞きになりたいですか?」
ガブリエレはそんな彼を睨みながら言った。
「当然だ。法の下審議する為にもな」
彼の心には娘を害しようとした者への怒りが隠されていた。だがそれは隠している。
ガブリエレの心は恋人をさらおうとした者への怒りで燃え盛っていた。それは表に出ていた。
「そうですか、では言いましょう」
ガブリエレはシモンを見据えて言った。
「おい、何か様子が変だぞ」
ピエトロがパオロのみ身元で囁いた。
「ああ、一度も俺達を見ないで総督ばかり見ているな」
「ご自分の胸に心当たりはありませんか?」
ガブリエレはシモンに対して言った。
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