第二十四話 難波その四
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「食べ尽くして」
「そうしないとってね」
「お母さん言ってたから」
「炭水化物系ばかりなのが気になるけれど」
うどんにしてもカレーにしてもだ。だがこうしたことを気にしていては大阪、特に難波では食べてはいけない。
「それでもね」
「食べて食べて」
「食べ尽くして」
こうしたことを言ってだった、五人はまずは蓬莱に向かいそこで豚饅と餃子を買ってからそれを持ったまま金龍ラーメンに入ってその立ち食いのカウンターに五人並んで。
五人で食べてそして言った。
「金龍ラーメンって豚骨がいいのよね」
「そうそう、このスープがいいのよ」
「おまけに大蒜とキムチ取り放題で」
「サービスもいいから」
「そうなんだよな」
こう五人で横一列になって食べている豚饅は一人一個、餃子は一人前ずつだった。
そうして食べながらだった、五人はまずは中華からはじめた。
里香はラーメンに大蒜を入れる、ここで琴乃が彼女に言う。
「あっ、大蒜はいいけれど」
「どうしたの?」
「いや、私もそうだけれど」
琴乃だけでなく他の面々もラーメンに大蒜を入れている。キムチもだ。
「それでもね」
「それでもって」
「そう、大蒜って匂いするからね」
非常に独特の匂いである。
「町で声をかけてくる男の子いるけれど」
「それがいいと思うけれど」
「いいの?」
「だって今日は私達だけで楽しみたいじゃない」
プラネッツの五人でだというのだ。
「だから。今日はね」
「大蒜食べてもなのね」
「いいじゃない。大蒜臭くても」
それでもだというのだ。
「うちの学園じゃ普通に大蒜臭い娘多いけれど」
「韓国とかイタリアとかスペインとかな」
美優はまずこういった国の名前を挙げた。
「そうした国からの留学生も多いしな、うちの学校」
「そこのお料理も普通に学校の食堂にあるし」
「あたし達も食べるしな」
そうした大蒜を使った料理をだというのだ。
「だから八条学園だとな」
「大蒜の匂い普通でね」
「カップルいるけれどさ」
極めて普通にだ、お互いに大蒜の匂いがしていれば問題はないということだ。
「それでもな」
「そうそう、普通はね」
「大蒜の匂いする女の子はないからな」
「声かける対象としてはね」
この『常識』が話される。
「だから普通に」
「今はか」
「そう、だからね」
里香はその白く小さく刻んだ大蒜をラーメンにたっぷりと入れてそのうえで食べながら笑顔で琴乃と美優に話した。
「ここはね」
「大蒜たっぷりでいいのね」
「そうなるんだな」
「そう。それに難波で気取るのも」
それもだというのだ。
「何か違うし」
「ここって確かに皆気取らないわよね」
彩夏もラーメンにその大蒜をかなり入れて言う。
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