第二十四話 難波その一
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第二十四話 難波
五人は電車から難波に来た、夏の難波はかなり暑かった。
そして人が多い、琴乃は難波高島屋の前でその人だかりと多くの車達を見てから四人に対してこう言った。
「多いわね、やっぱり」
「だよな、夏休みで日曜だしな」
「余計に多いわよね」
「それで暑いしな」
「けれどこの暑さがね」
「大阪だよな」
美優は琴乃に笑顔で返す。
「夏の大阪はこうでないとな」
「大阪でない感じよね」
「そうそう、それでさ」
美優は笑顔のまま四人に言う。
「最初に何処に行く?」
「近いから蓬莱にしない?」
景子がこう提案する。
「蓬莱で豚饅と餃子を買って」
「その足で金龍ラーメン?」
彩夏はこの店を出した。
「そこで一緒に食べる?」
「いいな、まずは中華でさ」
美優は二人の話に乗った、そのうえで目をさらに細めさせる。
「楽しくやって」
「それでその足で自由軒行ってカレーにしましょう」
今度は里香が言う。
「あそこね」
「で、それから」
「そう、難波グランド花月の方に行って」
カレーの次はそこだった。
「お好み焼きとたこ焼き食べてね」
「吉本観てか」
「アイスキャンデーはもう食べてるから」
見れば五人共それぞれアイスキャンデーを食べている、言うまでもなく北極のアイスキャンデーである。既に大阪の味を口にしているのだ。
「次はね」
「豚饅だよな」
「そこに行きましょう」
「ええと、道は」
琴乃はそのアイスキャンデーを口にしながら自分達から見て右手を見た。難波の商店街は道が二つあった。
そのうちの左の方、やはり人が多く行き交う方を見て言った。
「あっちが蓬莱よね」
「そうよ」
里香が答える。
「右がグランド花月の方で」
「じゃあまずは蓬莱に行って」
今の打ち合わせ通りにである。
「それからね」
「お腹一杯食べてね」
まずは食を満喫してからだった。
「それでグランド花月で笑って」
「後は」
「甘いものよ」
それからも決められる、既に打ち合わせはしていたが。
「それね」
「夫婦善哉よね」
「織田作之助だから」
里香は笑みでこの作者にこだわりを見せた。
「行きましょう」
「自由軒も織田作之助だから」
「そう、難波はあの人の世界なの」
今も尚そうだというのだ。
「ここはね」
「そうなのね」
「若くして戦後間も無く死んだけれど」
里香はこのことは寂しく言う。
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