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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
第72話 =現実のひと時=
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向こうの記憶でいっぱいだよ?」

「うぅ……な、ならあたしが家庭教師してあげる!!」

「ほう、なら数学と情報処理をお願いしましょうかな」

その和人の言葉に小さな声を出して無言になっていた。どうやら直葉はどちらかというと文型タイプらしく今和人の言った教科が苦手中の苦手らしい。
それにしてもこれからただの学生として生きていくっていまだに実感が持てないな…。美菜実の言ったとおりまだ帰ってきてない人たちがいるから俺も本当に帰ってきてないかもしれないし、あの世界が今の現実よりも生きているという感覚が鮮明になっていたせいかもしれない。
でもまずは、目の前のことを片付けてから考えよう。まずはそれから…それが終わったらやっと始まるんだ。


――――――――――――

和人の携帯端末で3人分を一気に払い路線バスから地面の上へと降りた。直葉もいるということで今日は自転車ではなくバスを使いここまで来た。

「うわぁー、大きい病院だねぇ…」

「俺も何度来てもこの大きさには驚かされるよ」

「だな。でも中はホテル並だぞ」

すっかり親しくなった守衛に手を上げて顔パスでゲートを通過する。そして自転車ですら結構かかる並木道をただ歩く。というかここだけは完璧にデザインミスだと思う。外歩ける程度の病人とか俺たちみたいな健康な人でも結構辛いよこの道。
しばらく歩いてブラウンの建築物の中へと入り、これまた親しい受付の人に面倒な手続き無しで通行パスを発行してもらい珍しいものを見た子供みたいにきょろきょろ動く直葉を引っ張ってエレベータへ。外の道と違いエレベータに乗るのは数分だけで人気の無い最上フロアで降りてあの2人の病室のところまで歩く。

「じゃ、またあとで。アスナによろしく」

「わかった」

和人にそう告げて俺は悠香の部屋の前にある金属プレートにパスをスライドさせる。直葉は向こうの方へ先に行ってあとからこちらにも来るらしい。
滑らせきると自動でドアが開き花の香りが廊下に流れ出した。別段緊張というものはしてないけれどいつものように軽く起きている事を願いながらそっとカーテンをめくる。だがそこにあったのはあまり変わっていない体だけ。もちろん目覚めているわけもなくちょっとの期待がこんなにも傷を抉られるのか……いつものことだけれどやっぱり、寂しいようなそんな感情が生まれてくる。でもこれもようやく関係が修復しかけてるんだなって実感もできる。
多分、これを和人とかに話せば驚かれるかもしれないけど俺たちは仲のいい幼馴染…ではなかった。
中学序盤から中盤くらいのときまではよく話してた覚えもあるけれどある時、ちょっとした…本当に些細なことで喧嘩が俺と悠香の間で起きてしまってそれ以来だったような気がする…。いつもなら1週間もすれば互いの頭も冷えて
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