第二幕その四
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
もしかして」
一体何に使うのかは彼も知っていた。
「驚く必要はない」
「しかし」
カスパールに宥められても彼の心は平穏ではいられなかった。
「恐いのか」
「ああ」
彼はその恐怖心を抑えることができなくなっていた。
「あれを見ろ」
マックスは森のある場所を指し示した。
「あそこにいるのは母さんだ」
「?俺には見えないが」
「僕には見えるんだ。死んだ時の姿で僕に帰れと言っている」
「馬鹿を言え」
だがカスパールはそれを否定した。
「御前さんの幻覚だ。怯えているからそんなものを見るんだ」
「いや、違う」
だが彼はそれを否定した。
「あそこにアガーテが見える。見えないのか!?」
「ああ、見えないな」
カスパールはそんな彼を一旦突き放した。
「いい加減に落ち着け」
「これが落ち着いていられるか。死人の様に青い顔をして死に装束を着ているのに」
「そりゃそうだろうな」
カスパールはそれを聞いて独白した。
「明日死ぬのだからな」
やはりこれはマックスには聞こえなかった。マックスはまだ言う。
「ここは一体何なんだ!?何故僕だけがこんな幻覚を見るんだ」
「それは御前さんが怯えているからだ。さっきも言っただろう」
やはりカスパールの声は冷たいものであった。
「違う、絶対に違う」
「じゃあそう思っておけ。だが気持ちは落ち着けろ。いいな」
「・・・・・・ああ」
マックスはそれには同意した。そしてカスパールは彼に酒の入った水筒を差し出した。
「飲め」
「わかった」
言われるままにその酒を飲んだ。そしてとりあえずは酒の力で気持ちを抑えさせた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ