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魔弾の射手
第二幕その四
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もしかして」
 一体何に使うのかは彼も知っていた。
「驚く必要はない」
「しかし」
 カスパールに宥められても彼の心は平穏ではいられなかった。
「恐いのか」
「ああ」
 彼はその恐怖心を抑えることができなくなっていた。
「あれを見ろ」
 マックスは森のある場所を指し示した。
「あそこにいるのは母さんだ」
「?俺には見えないが」
「僕には見えるんだ。死んだ時の姿で僕に帰れと言っている」
「馬鹿を言え」
 だがカスパールはそれを否定した。
「御前さんの幻覚だ。怯えているからそんなものを見るんだ」
「いや、違う」
 だが彼はそれを否定した。
「あそこにアガーテが見える。見えないのか!?」
「ああ、見えないな」
 カスパールはそんな彼を一旦突き放した。
「いい加減に落ち着け」
「これが落ち着いていられるか。死人の様に青い顔をして死に装束を着ているのに」
「そりゃそうだろうな」
 カスパールはそれを聞いて独白した。
「明日死ぬのだからな」
 やはりこれはマックスには聞こえなかった。マックスはまだ言う。
「ここは一体何なんだ!?何故僕だけがこんな幻覚を見るんだ」
「それは御前さんが怯えているからだ。さっきも言っただろう」
 やはりカスパールの声は冷たいものであった。
「違う、絶対に違う」
「じゃあそう思っておけ。だが気持ちは落ち着けろ。いいな」
「・・・・・・ああ」
 マックスはそれには同意した。そしてカスパールは彼に酒の入った水筒を差し出した。
「飲め」
「わかった」
 言われるままにその酒を飲んだ。そしてとりあえずは酒の力で気持ちを抑えさせた。

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