暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
8話:伝えきれない思い
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っと表情も、いつものなのはじゃないようだ。

「えっと、その…前に会った時も、その前も言えなかったので…」
「…だから、何?」
「あ…ありがとうございます!」
「……いきなりお礼言われてもな…」

腰を見事なまでに90°近くまで曲げ、俺に向かって頭を下げてくるなのは。

「その、いつもいつも私達を守ってくれて、前の時なんてあんなにボロボロになっても戦ってくれたのに、何も言えなかったから……」
「……はぁ…」
「え!?何でため息なんてつくんですか!?」

全く…こいつってホントいい性格してるよな……。

「気にするな。それが今の俺の『仕事』だから」
「でも…」
「そんな事より嬢ちゃん、あんまり友達に心配させるなよ」
「え、何で…」
「そんじゃな」

それだけ言い残し、俺はバイクでその場を去っていく。

















「結局、あの人の事わからずじまいだね…」
「うん。でも、悪い人には見えないよ」

あの後、アルフさんがフェイトちゃんを抱えて去っていって、私達もお家に戻る為に歩いています。

「でも、あんな魔導師見た事ないし…どう見てもアレがバリアジャケットには見えないし」
「確かに…そうだね…」

全身を鎧のような物で包み、素顔もわからない。かと思えば、その姿を別の物に変え、あの変な人達の攻撃をくぐり抜けながらなぎ倒していく。
この数週間、一緒に戦ってきてるけど、その素性も、彼に関する事は一切わかっていない、なんて状況なの。
そこまで考えて、一つの疑問がふと浮かぶ。

「そう言えば、あの姿はバリアジャケットみたいなものなの?」
「そう、だね。彼自身、自分も、魔導師だって言ってたし」
「じゃぁ、人の姿もあるってことだよね?」
「うん。そうなるね」

そっか…そうだよね。

(本人に会えて、お礼、直接言えるといいなぁ……)


そんな少女は、自分が思う相手がすぐ近くにいる事などつゆ知らず、夜空に輝く星々を見上げながら自らの家へ歩みを進めるのであった。



 
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