第二幕その三
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ザミエルはそれに対して首を横に振った。
「契約は絶対だ。それは最初の契約の時に言った筈だ」
「しかし」
「しかしも何もない」
ザミエルはあくまでそれを拒否した。
「魔界においても法は絶対だ。それは覚えておけ」
「・・・・・・わかった」
カスパールはそれを受けて苦渋に満ちた声でそう答えた。
「ならば新しい生け贄を持って来る。それでいいな」
「それならばな」
ザミエルはそれには首を縦に振った。
「契約違反ではない。よいだろう」
「おお、それは有り難い」
カスパールはそれを聞いて顔を少し明るくさせた。
「そしてそれは一体誰だ?周りの者の声によると花嫁だというが」
「フーーーーフイ!フーーーーフイ!」
それを聞いたか声がまた響いてきた。カスパールはそれを聞いて内心身震いを感じた。だがそれは決して顔には出さない。魔王を前にしてそれは出来なかった。
「俺の狩り仲間もだ」
「ほう」
それを聞いたザミエルの眉が少し上がった。
「では二人差し出すのだな」
「都合そういうことになる。これならどうだ」
「悪い話ではない。では生け贄を手に入れてからな」
「ああ、わかった」
カスパールはそれを聞いて安心したように頷いた。
「ところでだ」
ザミエルはここで質問を変えてきた。
「何だ?」
カスパールは一瞬ギョッとした。やはりそれは顔には出さない。
「その仲間は何を望んでいるのだ?」
「ああ、それか」
それを聞いて彼は胸を撫で下ろした。無理難題を言われたならばどうしようかと思っていたのだ。
「魔法の弾を望んでいるのだ」
「御前と同じか」
「ああ、全く同じ弾だ」
彼はそう答えた。
「七発の魔法の弾だ」
「そのうち六つは当たるが」
ザミエルはそれを聞いて呟く。
「七つ目は外れるあれだな」
「そうだ」
カスパールは頷いた。
「七つ目はあんたのものとなっているあの弾だ。それで花嫁の魂もあんたのものだ」
「そういうことか」
ザミエルは表情を変えずに頷いた。
「どうだ、これならいいだろう」
「それは後になってからわかることだ」
ザミエルの言葉は呆気ないものであった。しかしカスパールはそれでも引き下がった。
「しかし期限を延ばすのにはいいと思うが」
「御前の魂の身代わりとして」
「そういうことだ。三年分はあると思うが」
「確かに」
ザミエルはそれを認めた。
「ではそれは約束しよう。三年の延長をな。地獄の門にかけて」
「おお、それは有り難い」
「しかしだ」
だがここでザミエルの声が鋭くなった。
「それは明日の期限までに二人の魂が私の下に入ったならだ」
「それはわかっている」
カスパールはその言葉に顔を一瞬青くさせて答えた。
「しかし安心してくれ。俺
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