暁 〜小説投稿サイト〜
気合と根性で生きる者
第三話 見えない駆引き
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はかなり近いのに、きっちりとした敬語で話されるものだから、最初こそ気恥ずかしかったが、今はもう慣れてしまった。

「はい。実は黒ウサギのお姉ちゃんから伝言を頼まれまして。黒ウサギのお姉ちゃんは用事でサウザントアイズ≠ノ行っているので、出来れば留守をお願いします、とのことです」

「あ〜・・・・・・ごめん。実は僕もサウザントアイズ≠ノ用事があるんだよ。だからちょっと行ってきたいんだけど・・・・・・リリちゃん、留守をお願いしてもいいかな?」

「はい。そういうことでしたら、大丈夫です!」

 元気いっぱいに答えるリリに、勝は苦笑して「それじゃ、行ってくるね」と言い残してコミュニティの本拠を後にした。










「・・・・・・あの、白夜叉さん。これは一体、どういった状況なのでしょうか?」

 案内されるままに部屋に入ってみると、鎌をもった亜麻色の髪に蛇皮の上着を着た線の細い男がそれを飛鳥に向かって振りおろし、十六夜が難無く足で受け止めるまさにその場面だった。

「う、うぅむ・・・・・・そっちの亜麻色の髪の小僧はルイオスといっての。コミュニティペルセウス≠フリーダーの男なのだが・・・・・・ノーネーム≠フ元仲間の吸血鬼が箱庭の天幕の外で売られると聞いて黒ウサギが激怒し、小僧追い撃ちを掛けるかの如く黒ウサギにもっともらしいことを言いだんだんと侮辱に近いことになって・・・・・・それに激怒した飛鳥がギフトを使って小僧を跪かせ、小僧がそれに激怒して力任せに飛鳥のギフトを解除し、現状に至っておる」

「・・・・・・何だか、残念な事この上ない状況だということは分かりました」

「お主、意外と手厳しいの」

「いえ、これでも結構甘い評価だと自負しているんですけどね・・・・・・」

 残念なものを見る目でルイオスを見た後、視線を再び白夜叉に戻し、流石にいつまでも立ちっぱなしでは失礼だと思い、扉から少し離れて白夜叉に向かい合うように礼儀正しく座る。

「お、なんだ眼鏡坊主。来ていたのか」

「いえ、今回は少し白夜叉さんと二人でお話ししたいことがあったので、足を運んだだけです。正直、こんな面倒事に巻き込まれるとは予想もしていませんでしたけどね」

「ハハッ。そいつは悪かったな。ならそっちは遠慮なく続けてくれ」

「だから、白夜叉さんと二人で、と言ったでしょうに。――と、タイミングが悪そうなので、また後日にお伺いした方がよろしいですか?」

「いや、私もこの後は暇になるのでな。問題はない。ほれ、お前達もぼけっとしてないで、用が無いのなら退出せい」

 そう言われ、不機嫌そうに鼻を鳴らして出て行くルイオスと黒ウサギ達。人払いが完全に済んだのを確認してから、勝は先ほどの柔らかな態度とは全く別
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