第三話 見えない駆引き
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・・・・・・フォレス・ガロ≠フリーダー討伐、ねぇ・・・・・・」
十六夜は何か腑に落ちないのか独り呟く。しかし、今はそれを確認する術はないため、考えるだけ無駄なのかもしれないと思い、十六夜は思考を中断する。
「ま、何はともあれ、ここに来れなかった眼鏡坊主の分まで頑張ってこい」
「えぇ。絶対に勝利して、帰ってくるわ」
飛鳥、耀、ジンの三人は門を潜り、フォレス・ガロ≠フ居住区へと足を踏み入れ、ゲームを始めるのだった。
勝が目を覚ましたのは、偽ガルドとの戦いを終えた後だった。
負傷者は耀を除いては居らず、きっちりとギフトゲームはクリアしたらしい。それも、若干一名を除いてほぼ全員が、ガルドの死を疑ってはいなかった。
(まったく、苦労したよ。足の怪我を止血した後すぐ、ガルド似の虎を捕獲するのは、本当に骨が折れたね)
ただ、いくらガルド似の虎といっても所詮はただの虎。言葉を喋れるガルドと、そうでない虎とでは違いが天と地ほどの差があった。
だからこそ、今回は理性を失うであろう鬼種≠フギフトをそれに与えるように頼み、ガルドの影武者として使ったのだ。こうすれば、ただ咆哮を上げているだけでも変に怪しまれる心配は皆無である。
とはいっても、正直に言えば半信半疑であった。何がと訊かれれば、鬼種≠フギフトを与えれば、理性がなくなるかどうか、というところである。
もともとその種というものは、単一で、または生まれた時に複数の血が混じって混血になるからこそ拒絶反応も何も起こさずに、他種族との混合種が生まれるのだ。
ならばもし、生まれた後のものに無理矢理その種族を植え付けるのであれば?
もう一度言うが、これは半信半疑だった。鬼種≠ニいう種族のギフトだったからこそ、理性を失った可能性だって否定は出来ない。ただ彼は、もしかしたら種族の混血と混合というのは、血液と一緒なのかもしれないと思いついただけなのである。
「ふう。一件落着、かな」
どうやら意識を失ったあと、黒ウサギたちが治療用のギフトで回復を試みてくれたようだった。おかげで、あの最強犬に噛まれた傷はほぼ完全に治癒されたといっていい。少しの鈍い痛みは残っているが、日常生活に支障はないだろう。
「あ、勝様」
不意に声が掛けられる。誰かと思い声のした方向を見てみると、そこには見たことの無い狐耳と狐の二尾がトレードマークの、髪に色は黄色い毛先にいくほど黒に近づくショートの割烹着を着た女の子がいた。歳の頃は、勝と同年代か少し下に見える。
「あ、リリちゃん。どうかしたの?」
この女の子の名前は、勝が呼んだ通りリリという。彼が起きた時に隣で看病をしてくれていた人物であり、歳
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