第三話 見えない駆引き
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う。信用してるよ、理想高き虎の悪魔さん」
それを最後に、今度こそ彼はこの場を去って行った。後に残ったのは鬼種≠フ純血である女と、ガルドだけとなった。
「・・・・・・ハハッ。あの小僧は、この重罪人の俺を本当に救う気でいるのか? そして信用しているなんて・・・・・・随分と高く買ってくれたものだ」
肩を竦めながらそう言う彼からは、嫌味というものを一切感じなかった。
どこか吹っ切れたような、それでいて清々しいその態度に、鬼種≠フ純血の女は驚いた表情でその豹変ぶりを見物していた。
「いいだろう。救われたこの命で、アンタに期待された分だけ、しっかりそれに応えてやるぜ」
言った後、屋敷全体に響く大音量で、彼は心の底から笑った。今までの自分を捨てて、新たな自分へと生まれ変わったのだ。
「――驚いた。まさか、あの外道だった奴を、こうも豹変させてしまうとは・・・・・・」
鬼種≠フ純血である女は目を見開いて驚き、同時に彼のカリスマ性に尊敬と畏怖の念を抱いたのだった――
「ただいま〜・・・・・・」
重い足――というより激痛の走る血塗れの足を引き摺りながら、勝はノーネーム≠フ本拠地に戻った。時刻はおよそ午後の7時頃だろう。
「・・・・・・あれ? 誰も居ないんですか〜?」
おかしい。勝は確かに黒ウサギや十六夜、飛鳥、耀がここに入るのを遠目からだが見ていた。四人はここに居る筈なのだが――もしかして、中が広すぎて聞こえないのではないだろうか?
(う・・・・・・ちょっと、限界かも。あの犬に噛まれたところは止血したのに、歩き出した途端にまた傷口が開いて・・・・・・)
勝の意識が朦朧としていく。それはきっと、足から大量の出血をして貧血を起こしたからだろう。
とうとう体を支え切れなくなり、勝はその場に崩れ落ちる。早く誰か来てくれ、と願いながらその意識を失った。
意識を失う前に爆発音が聞こえてきたのは・・・・・・きっと、気のせいだろう。
フォレス・ガロ≠フ居住区画でギフトゲームをされると聞いて、十六夜たちはそこに到着していたのだが――これを、居住区画といってよいものだろうか?
それというのも、居住区画の全面が森のように変化していたからである。
ツタの絡む門、鬱葱と生い茂る木々、森というよりは、もしかしたらジャングルに近かったかもしれない。
「やっぱり――鬼化≠オている? いや、まさか」
「ジン君。ここに契約書類≠ェ貼ってあるわよ」
飛鳥に言われ、皆がその門柱に貼られた羊皮紙を見ると、そこには今回のゲームの内容が記されていた。
『ギフトゲーム名 ハンテ
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