第三話 見えない駆引き
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・つまり、テメエは何が言いてえんだ?」
「まずは、そのガルド=ガスパーという名前を捨てていただきます」
「なっ!?」
あっさりと当然のように言われ、ガルドは言葉を詰まらせ驚愕する。しかし、更なる追い撃ちはここからだった。
「それと、貴方にはどんな屈辱にも耐えていただきます。また、名誉は――もう失墜しているので、今更捨てるとか捨てないとかはどうでもいいです。一番重要なのは、ノーネーム≠ニのギフトゲーム当日にコミュニティのリーダーを変更して、貴方がフォレス・ガロ≠ゥら抜けてもらうことです」
「テメエ、ふざけるな!」
ガルドの咆哮のような叫び。すると、今まで笑顔だった少年の顔は途端に真顔になり、納得させるように話を続ける。
「いいですか? 貴方が安全にこの窮地を乗り越える為には、それしか方法が無いのです。今の状況を逆転できる手札など、貴方には残されていません。しかし、僕の言うとおりにすれば確実に貴方は生き残ることが、箱庭の罪を逃れる事が可能です。今からいう事を正確に、一言一句違わずに契約書類≠ノ書いていただければ、それで貴方は助かります。絶対に」
ガルドは少年の瞳を見るが――嘘を吐いている様には、微塵も見えない。それどころか、本当に自分を生かそうと、必死になってくれていることが分かった。
「・・・・・・どうすれば、俺は助かる?」
少年の必死さに、遂にガルドは生き残る為に・・・・・・そして、夢を追い続ける為に少年に助けを求める。
彼は途端に再び笑顔になり、何処から取り出したのか、何かを包んだ布を取出し、それを自分の足元に置いた。
「――まず、そこの鬼種≠フ純血である貴女に協力をお求めしたい。これも新生ノーネーム≠フ成長のためと思って、手を貸していただけませんか?」
「・・・・・・」
少年が訊くと、暫しの間沈黙が流れた。恐らく、彼女なりに何か考えがあって、ここに来たのだろう。自分の目的が果たせるかどうか、女は顎に手を当てて静かに検討していた。
一分、二分、三分と沈黙が続き、五分を過ぎた頃にようやく、彼女は考えがまとまったのか顔を上げ、頷いて見せた。
「ありがとうございます。貴女にやってもらうことは一つ。明日のギフトゲームの開始直前に、この布の中身の生物に鬼種≠フギフトを与えてください。あと、このことは出来れば他言無用でお願いします」
「ふむ・・・・・・なるほど。心得たよ」
「ありがとうございます。ガルドさんには、少し手筈を覚えていただくことになります。まず、貴方は僕の言葉を一言一句違わず契約書類≠ノ記入をお願いします」
「分かった」
ガルドは即答し、契約書類≠ノ彼の言った言葉を一言一句違えず、しっかりと記して契約書類
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