第三話 見えない駆引き
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の、緊張感を放つ。
「まず前置きとして一つ。僕は貴女がこの件を他言無用にしてくれると信用して、話し合いに参りました。その方面の心配はしなくても、よろしいですね?」
「当然だ。人の知られたくない素性をペラペラと喋るほど、口は軽くないのでな」
「では、お話します。今回お伺いした理由は、僕がある代行人を立てて設立したコミュニティについてです」
「ほう? なかなか面白そうな話ではないか。どれ、遠慮なく話してみろ」
口元をサウザントアイズ≠フ印の刻まれた扇子で隠しながら喋る白夜叉。対して勝は緊張感以外いつもと全く変わりのない様子で口を開く。
「タダ、とまでは言いません。ノーネーム≠ノ悟られない様に、貴女を仲介してその同士と定期的に連絡を取りたいのです。場所は二○○○○○○外門。コミュニティ名はエクリプス≠ニいいます」
「・・・・・・おんし、もしかして私のことが嫌いなのか?」
胡散臭い好意的な笑みを浮かべる勝に対して、白夜叉は不機嫌そうに訊く。
「いえいえ、滅相も無い。寧ろどちらかと聞かれれば、圧倒的に好きの方が強いとだけは断言できます。それと一つ言っておきますが――このコミュニティは貴女を打倒するために作ったものだということだけは、宣言しておきます」
嘘偽りなく、勝はそう断言した。白夜叉は不機嫌から一変して怪訝な表情で勝に問う。
「おんし。私を倒す為のコミュニティに、私自らが手を貸すと本気で思っておるのか?」
「はい」
即答。どうやら、何の算段もなくここに来たわけではないらしい。
「理由を聞いてもよいか?」
「はい。貴女には聞く権利がありますから、嘘偽りなく話します。理由はと訊かれれば、自分を打倒すると掲げた新規コミュニティに手を貸すという行為は、むしろ貴女にとっては何も気にならないほどの利益になると、僕はそう考えているからです」
「その考えの核心は?」
「コミュニティに手を貸すということは、そのコミュニティに恩を売る事が出来ます。即ち、それは面倒事の押し付け役や遊び相手という手駒として使えると同義。もっと良い利益をいうのであれば、貴女は貴女を倒そうとするコミュニティの内情を知る権利を得る≠ニいう、最高のアドバンテージを持つという事。新規コミュニティの恐ろしさを一番よくお分かりになっている貴女なら、自分の死角である他の者に手を貸させるくらいなら、僕のコミュニティをその手中に収めるという保険をつけると、僕はそう確信していました。反乱の恐れがあっても、内情を知っているのであればさほど脅威にはなりません。また、僕を消すという手段も、ノーネーム≠ノ仮にも所属しているのであれば、封じられたも同然です。つまり貴女は、“この話を聞いたその瞬間”から、選択肢を一つに
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