第三話 見えない駆引き
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恐らくこの魔王との戦いの傷跡を見たせいだろう。そちらにばかり気が行き、ある肝心な一点を見落としていたが、彼らがそれに気付くことになるのは、まだ少し先なのだった――
ガルドは自分の屋敷で痛そうに、そして怯えたように頭を抱えていた。
(やっちまった・・・・・・黒ウサギを手に入れようとして取り返しのつかねえことに・・・・・・)
彼は主催者権限≠所持したとある魔王の傘下であり、野心家でもあった。傘下に入った理由も、魔王を後ろ盾にもってその名前を振りかざせば、怯えないコミュニティは無いと考えていたからである。それを利用すれば地域の支配も比較的楽にすることができ、やがては最高難度のゲームに挑戦して、自身が神格級のギフトを手に入れるつもりだった。
それにはコミュニティの強化、そして優秀な人材を揃える必要があった。
それに関して、黒ウサギは最高の人材とも言えた。箱庭の貴族というコミュニティの箔≠ニして、そしてその箱庭の貴族の実力をコミュニティの駒≠ニしても、欲しかった人材である。しかし、今まで何度もアプローチをしてきたが、鼻であしらわれてきた。
ノーネーム≠フ存亡を賭けた今回の召喚は、黒ウサギを奪う最大のチャンスだっただけに、先走りすぎてしまったのだ。これが、彼の最大の過ちである。
「くそ・・・・・・くそくそくそこのドチクショウガァ!!!」
執務室の飾りだけの机を窓の外に放り出す。数日後にはもう不要になるものなので、どうなろうがガルドの知る由ではなかった。
ガルドは今、自分の過ちを過去の自分を呪い殺すかのごとく悔やんでいた。たった一度、小さな過ちを犯してしまっただけで、全てを失う結果に繋がったのだから。
「あの女のギフト・・・・・・精神に直接触れる類だ。あんなのがいたらどんなゲームを用意しても勝ち目なんてねえぞ!」
一番の問題はそこだ。通常、主催者≠ナある此方の領地内でギフトゲームを用意する場合、ほとんど確実にこちらが優位にゲームを組めるはずなのだが、久遠飛鳥のギフトが相手を意のままに操れるとなると、相応のギフトゲームを用意しなければ勝ち目がない。
頭を抱えるガルドに、不意に割れた窓の向こうから凛とした女の声がかかる。
「――ほう。箱庭第六六六外門に本拠を持つ魔王の配下が名無し&酪に負けるのか。それはそれで楽しみだ」
「っ、誰だ!?」
割れた窓から突如風が吹き荒れ、黒い影が吹き抜ける。
現れたのは華麗な金の髪を靡かせた、十六夜たちよりも二、三歳年上の女性だった。
「情けない。三桁の外門の魔王の配下がコレとは。こうも情けないと同情してしまうよ」
金髪の女は呆れる様に頭を振る。敵を挑発しているよう
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