第34話 海鳴市に正義降臨!(2)
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に通った事なのよねぇ。けど、一度決心をしたのなら、その為の力を得ることを躊躇っちゃいけないわ。前の世界ではそれが生死を分けることになるし、ここでもそれは一緒。
それに前に言った通り、思いは受け継がれる。例え私が消えたとしても、私の記録、経験、思いを持った新しい仲魔があなた達の傍にいるんだから、寂しくなんてならないわよ」
その時、混乱から回復したリリーが純吾の隣に移動しつつそう補足を加えた。
最後の言葉を聞いて、純吾が形態を握る手に力を込める。そこにどんな意図があったか、自分自身でも分からなかったが、それが妙に気恥ずかしい。
誰にもそんな感情のざわめきを悟らせないままに、地面に立っているユーノへと声をかける。
「じゃあ、ユーノ」
「うん、封時結界…展開っ!」
ユーノの言葉と共に手を振り下ろす。緑色の魔法陣が地面に展開され、そこを中心として封時結界が裏庭に歪んだ空間を形成した。
初めて魔法を見る恭也達大人組みが空を見上げ、「ほぉ」や「わぁ…」といった感嘆を漏らす。
「へぇ、確かにここなら仮にどんな事が起きても大丈夫ね」
「まぁ、転ばぬ先の杖ね。アプリの優秀性は折り紙つきだけど、ここでは初めての試みになるし」
こちらもゆらゆらと揺らめく結界を見上げながらアリサと、観衆の方へ下がったリリーが呟く。今までの様子を見る限り、アプリが暴走すると言う事はまずないだろうが、初めての事には慎重になりすぎる位が丁度いい。
そんな会話を聞き流しながら純吾もそれを見上げる。そして、無事結界が展開されたのを確認すると一つ頷き、アプリを起動した。
「ヒーホーッ! お久しぶりホー」
「お初にお目にかかる。天使パワー、仰せによりただ今罷り越しました」
操作を終えると同時、まばゆい光の中から雪だるまのような悪魔のジャックフロストが元気よく、紅い鎧を着込み、大盾と槍を持った天使パワーが厳かな雰囲気を纏って現れた。
「ん…、久しぶり」
純吾も小さく口元を嬉しそうに持ち上げて返事をする。けれども、それから二柱と一人はしばし無言で対峙するだけだった。
純吾が二柱に「悪魔合体をする」そう言えばいいだけなのだが、当人たちを目の前にするとやはり、その決心が少し鈍ってしまうのだ。
どうしても、思ってしまうのだ。前と比べて平和なこの世界なのだから、やはり誰もいなくなることなく、彼女と対する事はできないだろうか? と。
だが、その少しばかりの弱気を、力を司る天使が察した。
「して召喚師殿。本日我らを呼んだのは、我らを合体するためだと愚考致しますが。何を躊躇われますか」
その問いに、純吾は咄嗟に答える事ができない。考え込むように、追求から逃れる様に視線を逸らす様に俯いた純吾に、能
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