第四十五話
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入れようとした……もちろん、別々にだ。
「俺たちにはもう、それしかなかったんだろうな……」
キリトは自身の経験や情報屋からの情報で、自信を持って《背教者ニコラス》の待つ場所にたどり着いたのだろうが、俺がそこを突き止めることが出来たのはほとんど偶然だった。
《聖竜連合》の連中がわらわらとどこかに向かっているのを見て、付いて行かせてもらった先に、《背教者ニコラス》が現れるという木があったのだから。
「夜だったのと、《隠蔽》スキルをボーナスしてくれるこのコートに感謝した。聖竜連合の連中は、何でだか知らないがクラインとデュエルしていたよ」
そして、クエスト発生場所にたどり着いた俺が見たのは、悪趣味なサンタみたいなモンスター《背教者ニコラス》と、まるで死人のようなキリトだった。
第一層以来、久しぶりに会うことになる恩人に向かっての言葉と、背教者ニコラスのクエスト発生を知らせる言葉が重なり……キリトの返答は、ひっくるめて一つだった。
――うるせえよ
「その言葉と雰囲気で、キリトも、俺と同じだと……悟った」
そこからは、俺とキリト、そして背教者ニコラスとの三つ巴の殺し合いになった。
キリトの《ヴォーパル・ストライク》が、容赦なく背教者ニコラスごと俺を貫き、茶髪の鍛冶屋から買った日本刀が、キリトを背教者ニコラスごと切り裂いた。
「相手がモンスターかプレイヤーか……そんな区別もつかないまま、俺たちは戦った。殺し合った」
そんな殺し合いで一番有利だったのは、当然ながらボスモンスターである《背教者ニコラス》だった。
プレイヤーである俺やキリトとは、そもそもの地力が違うのだから当然だ。
そして、一番不利なのはキリトだった。
一番回避と防御を考えていなかった、と言い換えても良いぐらいにキリトは捨て身で攻撃してきたからだ。
「俺は……まだ死への恐怖なんて乗り越えられていなかった。だから、キリトほど命は懸けられなかった……思い返すと、そんな自分が嫌になる」
そして、遂にキリトが背教者ニコラスの攻撃をもろに受け、HPをギリギリまで減らしながら吹っ飛んでいった。
背教者ニコラスはその隙を逃がさんと追撃していき、俺も背教者ニコラスに攻撃しながらキリトの方に行った時――キリトの両手には二本の剣が握られていた。
「NPCから聞いた噂話だ……『武器は二つ持つと両方使えなくなるが、片手剣を両方持てるようになる《ユニークスキル》と呼ばれる、この世界で唯一誰か一人が持てるスキルがあるらしい』ってな……俺は、キリトがそれの持ち主だと直感した」
キリトの雄叫びと共に放たれた《スターバースト・ストリーム》に、俺と背教者ニコラスはまとめて攻撃された。
俺はなんとか、茶髪の鍛冶屋が作ってくれた日本刀が
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