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SAO−銀ノ月−
第四十五話
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う。

「ちょっと……大丈夫?」

「っ……ああ。だけど、いきなりどうしたんだ?」

 確かに俺はリズの言う通り、グリームアイズ戦の前でもう既にユニークスキル《二刀流》のことは知っていて、だからこそキリトに隠さず使うよう言えたものだが……なぜそれをリズが知っているのだろう?

「キリトの《二刀流》用の剣を作った時、『どうして同じような剣がもう一本いるのか』ってキリトに聞いたんだけど答えてくれなくて……だけどなんだか、あんたは知ってるような感じだったから、さ」

 キリトの純白の剣《ダークリパルザー》の元となったインゴット、《クリスタライト・インゴット》は、俺がクライン達……つまりギルド《風林火山》と協力して得た時に二割譲ってもらったもので、それをキリトの新たな剣のためにリズに預けたため、リズはそういう結論に達したのだろう。

 リズに渡したあの時は、まさかこんな質問が飛んでくるとは思いも寄らなかったが、別に聞かれて困るようなことではない。

「……聞いてて面白いことじゃないと思うが、それでも良ければ話す」

 俺のそんな前置きに、重い雰囲気を感じたのか、リズ自身も少し真剣な面もちとなってコクリと頷いた。
《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン〉》討伐戦の後、過去のことをリズに話すことで俺自身が向き合った時のように、過去を乗り越える良い機会だと思うことにしよう。

「それじゃ、俺がキリトのユニークスキル《二刀流》について知ったのは、去年のクリスマスの日だった」

 もう自ら進んで思い返すことも、ましてや語ることになるとは思っていなかった、恐らくは生涯で最低最悪のクリスマスの日。
街頭に流れるジングルベルの歌やホワイトクリスマスの聖なる夜なんて文句が、笑えない皮肉にしか当時の俺には聞こえなかった、このアインクラッドで最初で最後であるはずの――キリトと本気で殺し合いをした夜のことだ。

「あのクリスマスの時、俺とキリトは二人とも、大事な仲間を失って茫然自失だった」

 俺はギルド《COLORS》の仲間を《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン〉》の前身となった連中に殺されたにもかかわらず一人だけおめおめと生き延び、キリトは……詳しいことは聞いていないが……あいつが唯一所属していたというギルド《月夜の黒猫団》を、キリト自身の過失から全滅させてしまったらしい。

「そんな俺たちの前に現れたのが、《蘇生アイテム》入手クエストだった」

 クリスマスの日、どこかの木の下に《背教者ニコラス》なるモンスターが現れ、そのモンスターから蘇生アイテムが入手出来る……という、今から考えれば胡散臭すぎるクエストだ。
そんな胡散臭いクエストに乗ったプレイヤーは少なかったようだが、他に頼れるものはない俺とキリトは何としてでも《蘇生アイテム》を手に
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