第二十四話 古墳その十三
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「まあどっちにしてもそういう類のおかしい下種はいるよ」
「それこそ昔からね」
「ヤクザとかだったらまだましみたいね」
愛実は妖怪達の話を聞いて述べた。
「そういう連中jに比べたら」
「連続猟奇殺人とかはそういう連中がするのよ」
「何かえげつない小説とかにあるみたいな?」
「そう、ああいう手のことって本当にあるから」
「えっ、あるの」
愛実は聖花の今の言葉に目を顰めさせた。
「首斬ったりばらばらにしたりとか」
「あるわよ。もっと酷いのもね」
「ホラー映画みたいな殺人事件って本当にあるのね」
「中世のブラド四世とかね」
「確かドラキュラ伯爵のモデルよね」
「実際は吸血鬼よりも遥かに残酷だったから」
ドラキュラ伯爵はただ血を吸うだけだ、だが実在のブラド四世は串刺しだけでなく様々な残虐な手段を用いて処刑を行ってきた。流石に差し入れの小鳥を嬲り殺しにしてにやにやと笑う人間を正常とは思えない。
「まあ異常者ってのはね」
「いるのね」
「そう、いるから」
「ううん、その点人間も同じなのね」
「妖怪も人間も変わらないよ」
猫又が言って来る、ここでもまた。
「おかしな奴はね」
「そうなのね」
「だからうちの学園って結界があるんだよ」
悪い妖怪が出入り出来ない、存在出来ない様にしていないのだ。
「幸いね」
「そうなのね」
「そう、いいことに」
また言う猫又だった。
「まあそういうサイコパスはいるからね」
「用心しないとね」
「そうよね」
二人は猫又の言葉に頷く、そうした話をしながら高さ四メートル程で直径二十メートルはある古墳の前に来た、その古墳を見てだった。
まずは愛実が聖花に尋ねた。
「ねえ、古墳ってね」
「うん、お墓よ。昔からのね」
「歴代の天皇陛下のお墓だったりするわよね」
「あと豪族のね」
「この古墳は天皇陛下のものじゃないわよね」
「ええ、違うわ」
それは確かだと答える聖花だった。
「この古墳が豪族のものよ」
「そうなのね」
「天皇陛下の古墳は奈良か大阪にあるでしょ」
「ええ」
「兵庫にはないし」
この八条町にはだ。
「駅代陛下の古墳の場所は全部わかってるし」
「豪族のお墓なのね」
「この辺りにも有力な豪族がいたのよ」
「蘇我氏みたいな?」
「そうなの、その名前は忘れたけれど」
大和朝廷に仕えたそうした豪族がいたというのだ。
「いたのよ」
「それでなのね」
「そう、それでこの古墳に入ってる人よ」
「わらわじゃ」
ここで古墳の方から声がした。
「わらわがこの古墳の主じゃ」
「あっ、出て来たよ」
猫又がまた言う。
「その古墳に寝ている人だよ」
「起きてるじゃない」
「いや、普段は寝てるから」
こう愛実に返す。
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