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ソードアート・オンライン ―亜流の剣士―
Episode1 花付き
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来ないかの距離、ぼんやりとしたその輪郭へ考える間もなく駆け出した。

そして、徐々にはっきりするその姿を見て拳を握り締めた。そいつは、頭上に大きな『花』を咲かせたネペントだった。

「〜〜!うしっ!!」

声にならない歓声を上げながら剣を引き絞る。前述したようにネペントは視覚でターゲットを取るモンスターでないためにバックアタックは通用しない。それを証拠にさっきまで俺に背を向けていたネペントがこっちを向いて――

「…なんだ?」

そう密かに呟いてしまったのは、こちらを向きかけていたネペントが中途半端な角度で躯の回転を止めたからだ。あれじゃまるで戸惑っているような…双方からの攻撃、どちらに向かえばいいのかを。

「見ぃつけた」

俺の耳にその言葉が届いたとき、ネペントとの距離はすでに攻撃が届くほどになっていた。だから、俺はすでに《ホリゾンタル》を発動させていた。

…そして、ネペントの向こう側でも別のスキルエフェクトが発生していた。次の瞬間――
ガァンとも、バァンとも形容しがたい炸裂音がし、俺の《ホリゾンタル》に垂直に『誰か』の《バーチカル》が直撃した。

「ぐっ!?」

スキル同士の衝突点から凄まじい衝撃波が起こり、念願の『花付き』ネペントは呆気なく消滅。俺も軽く吹っ飛び地面に尻餅をつく。

「おい、すげぇ音したけど大丈夫か」

慌てて駆け付けたクラインが心配して声をかけてくれるが、俺は目の前の二つのスキルが巻き起こした砂埃が収まるのを待つので精一杯だった。

そして、待つこと数秒一人のプレイヤーの姿が見えた。

「誰だ?僕の獲物を横取りしようとしたのは?」

不満げながらも綺麗に通るアルトな声。やけに長い手足に華奢な胴体。高い鼻を中心に綺麗に整った顔。…プライドが高そうな目つき。

そして、シルバーの長い髪を掻き上げたその性別不明のプレイヤーは抜き身のままの剣を真っすぐに俺に向けた。

「お前、この僕の邪魔をして……殺られる覚悟は出来てるかい?」


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