第三幕その六
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彼の前にやって来た。
「有り難うございます。私だけでなくマックスまで」
「清らかな娘よ」
隠者は彼女に声をかけた。やはり温かい声であった。
「私の力ではない。全ては神の御力だ」
「神の」
「そうだ。だから全ては神に感謝するのだ。私ではなくな」
「はい・・・・・・」
アガーテはその言葉に頷いた。
「全ては神の思し召し。それに心から感謝致します」
「うむ、それでよい」
隠者は目を細めた。クーノがそこに来る。
「アガーテ」
「はい」
娘に声をかける。アガーテはそれを受けて顔を上げた。
「一年待つのだ、よいな」
「はい」
「マックスは一年の間により立派になる。そして御前を迎えに来るだろう。そうだな、マックス」
「はい」
立ち上がっていたマックスは彼の言葉に頷いた。
「必ずや。その時までお待ち下さい」
「うむ」
クーノはそれを受けて力強く頷いた。エンヒェンも出て来た。
「お嬢様」
彼女はアガーテに声をかけた。
「その時はまたその服を着ましょう。そしてその時こそ」
「ええ」
アガーテは頷いた。
「私はその時は心揺れることなく向かいましょう」
「はい」
エンヒェンも笑顔で頷いた。全てを見届けた隠者はここで全ての者に語りかけた。
「全ては神の御心。我々はその慈悲に感謝するべし」
「はい」
皆彼の後ろに集まって来た。
「天を見よ、主が我等を見ておられる」
太陽が輝いていた。それはそこにいる全ての者を照らしている。
「清らかな心を持つ者は神の情を受ける」
「そして我等はここにいる」
「その通り」
隠者はその言葉に頷いた。
「さあ祝おう、そして感謝しよう。この神の温かき御心に。我等を愛し、そして祝福して下さるその慈悲深き神に」
皆天に祈っていた。罪が清められ、赦されたことに深く感謝の念を抱き続けそこで跪き祈っていた。来るべき幸福の日を信じながら。
魔弾の射手 完
2005・1・13
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