五十一 足止め
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を拘束しつつ、シノが淡々と問い掛ける。シカマルもまた、取り上げた武器や巻物を音忍達の手が届かない場所に積み上げながら、シノの質問に答えた。
「会場を出る前に虫を俺につけただろ。羽音でわかったんだよ」
囮役を決める際、ナル達の間では沈黙が降りていた。その時聞こえた虫の羽音が、シノがすぐ傍まで来ている確認となったのだ。なぜただの虫だと思わなかったかというと、シカマルの身体から一向に離れようとしなかったからである。
「流石だな。お前が会場を出る前にメスの虫をつけさせてもらった。メスの匂いはほぼ無臭…。そのメスの微かな匂いを嗅ぎつけるのは同種のオスだけだ」
「それでこいつらにもメスの一匹をそれぞれつけたんだろ?」
シノの言葉を引き取ってシカマルが続きを話す。先に言われ、若干不貞腐れながらもシノは渋々「…その通りだ」と頷いた。
シカマルが影真似の術を発動したその瞬間、音忍達の一人一人に一匹ずつメスの虫をつける。そして影と影が繋がれている間は動けないと思い込んでいる音忍達の影上にオスの虫が群がる。
秘かに術を解いたシカマルが影を退いても、音忍達は足下でじっとしている虫達に気づかなかった。更にシカマルがわざと疲れている風情を装う事で、音忍達は皆油断する。その隙をついて、シノは虫達に襲わせたのだ。
「とにかく助かったぜ、シノ。俺のチャクラはそろそろヤバかったからな〜」
ようやく一息ついたのか、シカマルが地面に腰を降ろそうとした。だがその瞬間。
カッ、と地にクナイが突き刺さった。
何処から飛んできたのか。明らかに自分達を狙ったモノが地面に深く刺さっている。
即座に身構えたシカマルとシノが周囲を見渡した。姿の見えない敵に焦る。おそらく八人の音忍が待ち伏せにあった場合を仮定し、一定の距離を取って後方を移動し敵襲に対応する九人目。
シノはともかくシカマルのチャクラはもう残り少ない。今襲われるとマズイ。
張り詰める緊張。しかしその緊迫感は直後破られた。
クナイを投げた張本人だと思われる一人の音忍が、潜んでいたらしい木から落下して来たのだ。同時に視界に入ったのは、動けぬよう上から音忍を押さえ付けている人影。
「……なッ!?」
「キバ!?」
シカマルとシノの危機を救ったのはキバだった。思わぬ人物に目を瞬かせるシカマルの隣でシノは眉を顰める。そして一言、「違う」と頭を振った。
「キバじゃない」
一人取り残されたヒナタは追い詰められていた。彼女はネジに予選で負かされて以来、闘う事が怖くなっていた。表面上は何でもないように装っているが、いざ闘いになると躊躇してしまう。
しかも今現在差し迫っているのは試合な
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