五十一 足止め
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たのだ。
高所から落下してきたキバ。彼に急いで駆け寄ったヒナタの眼前で白煙が立ち上る。煙が晴れた後には倒れ伏した赤丸の姿があった。
「なんだ。犬っころのほうじゃん」
明らかに落胆した声を聞いて、ヒナタが鋭くカンクロウを睨みつけた。彼女の視線に気づかず、残ったキバのほうへ顔を向けるカンクロウ。カンクロウと目が合ったキバはうろたえたように後ずさった。
「次はお前じゃん…」
低い声音で脅す。ビクリとキバの肩が跳ねた。カンクロウの眼力に圧されたのか、キバは次の瞬間、まさかの行動に出た。
くるりと背中を向け、走り去ったのだ。
「あの野郎…。女をおいて逃げるとは男の風上にも置けない奴じゃん」
呆然とするヒナタの前で、カンクロウの哄笑が響き渡った。
印を結ぶ手が震える。自らを縛る術者の疲労を見て取って、音忍達は冷やかに嗤った。
「お前は本試合に出てたガキだろ。そうチャクラももつまい」
「試験後にまた闘う羽目になるとは思ってもいなかったか?」
傍を飛ぶ虫を鬱陶しそうに見遣りながら嘲笑する。八人の音忍の動きを止めていたシカマルは微かに目を細めた。
試合後の事を思い返す。鋭い観察力と記憶力の持ち主である彼は、つい口を滑らせたテマリの一言を正確に憶えていた。
『なら、覚えておきな。その甘え、今に消えるだろうよ』
戦争を暗示するかのような物言い。耳から離れなかった懸念がこういう形で現れるとは流石に思わなかったものの、テマリの言葉を聞いて以来、彼は周囲に気を配っていた。類いまれなるその頭脳は僅かな点すら見落とさない。
術者から己の足下まで伸びる黒い影を見下ろして、音忍達が宣戦布告する。
「この影真似の術も直解ける。その時は覚悟しておけ」
「そう言われてもな…」
術を掛けているはずのシカマルが困ったように地面を這う黒を見下ろした。ふてぶてしく笑う。
「とっくに術は解けてんだよ」
「……なにッ!?」
刹那、男達の身体がずぶずぶと沈み始めた。全身が影に呑み込まれたかのように黒く染まる。否、それは影ではない。
「む、虫!?」
影のように密集していた虫の大群であった。
「……たとえ、相手がどんなちんけな虫であっても舐めてかかってはいけない」
何処からか聞こえてきた声。纏わりつく虫の重みで倒れ伏した音忍達の視界に、子どもの足が映った。
「なぜならそれが命取りになるからだ」
木ノ葉の下忍の中でも冷静な奈良シカマルと油女シノ。二人の子どもの前で、音の中忍達の意識は途絶えた。
「よく俺がいると知っていたな」
気絶した音忍達の身
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