五十一 足止め
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刃物が鈍く光るのを目の端に捉え、キバが身を翻す。回避。
「逃がすかよッ!!」
木の幹に突き刺さった刃物を素早く抜く。追って来る人形を振り返って、キバは気づいた。刃物の刺さった箇所がどす黒い色へ変わる様を。
(毒か!?)
俊敏な動きで人形から距離を取る。カタカタと鳴る人形の笑い声が耳触りだ。
「てめえの人形、バラバラにしてやるよ―――赤丸っ!」
主人の呼び掛けに応じ、赤丸が勢いよく吼えた。キバの背に飛び乗る。
「【獣人分身】!!」
擬獣忍法で獣と化したキバと、擬人忍法で主人の姿に変化した赤丸。二人のキバが同時に動いた。身体を捻る。
「【牙通牙】!!」
渦を巻く高速回転が傀儡人形【鳥】を襲う。人形だけでなく自らにも向かって来た二つの嵐にカンクロウは焦った。かろうじて避けたものの、傍の大木を抉ったその威力に冷や汗を掻く。
(やべえ…ッ!こうなりゃ、アレを出すか!?)
傀儡人形【鳥】を囮にして、カンクロウは一端茂みに身を潜めた。隠し持っていた巻物を広げる。念の為に用意していた奥の手をこんな所で使うとは意外だったが、仕方が無い。
はっきり言って相性が悪過ぎる。遠距離戦が得意なこちらに対して相手は接近戦に長ける。どう考えても不利だ。果たしてコレを使ったところで勝てるかも保証は無い。
「どうした!?もう降参か!?」
しかしながらキバの挑発にカンクロウは迷いを捨てた。印を結ぶ。
(その言葉、そっくり返してやるじゃん)
意外と短気であるカンクロウはキバの挑発に乗った。口寄せの術で現れたそれにチャクラ糸を繋げる。
その瞬間、カンクロウの匂いを嗅ぎつけたのか、キバが茂みに飛び込んで来た。彼の操る傀儡人形【鳥】はまだ外にある。身を守るすべはない。
勢いよく殴りかかって来たキバ。無防備なカンクロウの眼前で拳が迫る。
「そんな迂闊に近づいたりしたら…」
だがカンクロウは防御の構えすら取らなかった。口角を吊り上げる。
「駄目じゃん!!」
顔面に振り下ろされたキバの腕を掴む。思い切り殴られたにも拘らず、平然としているカンクロウの顔が崩れ始めた。
何時の間に入れ替わったのか。カンクロウに成り済ましていた傀儡人形がキバの身を抑える。だがその人形は初めて見る顔だ。【鳥】ではない。
動揺するキバに構わず、人形の陰に潜んでいたカンクロウが腕を振るう。同時に傀儡人形が腕を振るった。キバを締め付ける。
その上、腕に仕込まれていた多数の刃が彼の全身を突き刺した。
「キバくん…ッ!!」
白眼で戦闘の様子を視ていたヒナタが悲痛な声を上げる。木々の幹上で闘っていた故にキバの身がグラリと揺れた。カンクロウが冷酷にもキバの身体を突き落とし
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