第一章 3
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い動き…ここに来て、驚きの連発だった。けれど『王妃』なのだから、それぐらいの所作が出来て当然なのかもしれない。僕は貴族じゃないから、そこら辺を詳しく知らないが。
「はい、ありがとうございます。今日からこちらで二年間お世話になります、リオです。不束者ですが、ここで出来ることは何でも致しますので、どうぞ宜しくお願いします」
何はともあれ、お世話になるのだから自己紹介と挨拶はしっかりしておこう。そう考え、口を始めに開いた序でに、先に自分の紹介を済ませてしまう。
「エドワード、気軽にエドって呼んでくれ」
エドも僕につられて、流れで名前だけを名乗った。しかし―
(気軽過ぎるだろっ!)
声には出さないものの、心の中で突っ込みを入れた。そのまま驚いて彼女を凝視していると…鋭い視線で見られていると感じたのか、こっちに目を合わせてくる。
「な、何だよ、今のが問題あんのか?」
僕の表情から何かをしでかしたんだと気づくエド。けれど自分で何処が悪いのか、分からないらしい。ええ、勿論ですとも!と叫びたくなったが、もう遅い。それに、僕はノリ突っ込みとかするキャラじゃない…。
「ハハハ、元気なお嬢さんだな。結構。これからは、エドとリオそう呼ばせてもらうよ。そうだ早速で悪いが―リオ。君の挨拶はとても丁寧で良かったのだが、少し訂正させてもらう所がある」
本当に心から笑っているのか分からない、乾いた笑い声を軽く上げ、特にエドの言葉を気に留めていなかった。今度は逆に自分の名前を呼ばれ、何かしでかしてしまったのだろうか?と不安になった。
「は、はい。何でしょう」
上ずった声で、聞き返す。いつでも、どんな時でも、僕は冷静でいられる自信があったのに…今ではその自信も何処かに吹き飛んでしまった。
「先程何でもすると言っていたが―その必要はない。ここの家事全般は、私の使用人達がやってくれる…勿論、それ以外にもな。だから、客人である君達は、何も心配することはない」
にこやかに言われてしまい、どうしたものかと思う。確かに、これだけの豪邸と国の中枢を担う人物が、僕らに何かをさせるとは思えなかったけど―まぁ、僕の思ってもいない気遣いは向こうにしてみたら、要らない配慮だったようだ。
(僕も、言葉道理に行動しようとは全然思っていないし)
「それより、貴方達の話は聞いてましてよ」
緊張が解れて、気分的にもヘナヘナになっていてもう休みたいのに、暇を貰う隙さえ与えずに、王妃が嬉しそうに話し掛けてくる。
目を輝かせたその姿は、まるで子供みたいだ。
「?何を聞いているんですか?」
言葉の意味が分からず、質問してしまう。三十歳過ぎている女性が、このような子供っぽくて、何かを企んでいる表情を浮かべていると、どうにも落ち着かない。それが、以前の自分が知っている人物のイメージと異な
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