第三話
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」
「なんでつけてんの? 顔に火傷があるとか?」
怪訝な目で――というより、好奇心に満ちた目でマスクを凝視するセレン。リーラも気になるのか止めに入らなかった。
「いや、別に火傷とかはないけど」
「じゃあ切り傷とかか?」
「いや、なんもないよ。ただ人前じゃ外したくないだけさ。俺ってこう見えて極度の人見知りでね。コレが無いと日常生活も儘ならないのよ」
小学生の頃に一度だけ教室で外したことがあったが、あれは酷かった。眩暈、頭痛、吐き気、過呼吸、胸痛などが一気に襲ってきて僅十秒も経たないうちに意識が消失したからな。起きた時は病院のベッドの上で、しかも二日も経っていたという話だったし。
リーラは一瞬だけ悲しそうに目を伏せたが、すぐにいつもの冷静な顔に戻った。
「へえ……。ま、ここで少しは改善できればいいな。最低でもここのメイドたちの前では素顔を晒せるくらいにさ」
「そうだね、うん」
確かにこれから先、生涯に渡ってマスクを被って生活するわけにはいかない。いつかは人見知りを直さなければならないのだし、ここで少しは改善できるように努力しようかな。
「誠に申し訳ありません。すぐに新しいお菓子とお皿をお持ち致します。セレンの不祥事はわたくしの不祥事、いかような罰でも甘んじて受け入れる所存です。これから精一杯尽くさせて頂きますので、何卒お許しください」
部屋を出て行ったセレンを見届けたリーラは深く頭を下げた。慌てて頭を上げるように促す。
「いや、ちょっと驚いただけで別に気に障ったわけではないから。だから頭を上げなよ」
「いいえ、これも最後まで式森様に仕えなかったわたくしの不徳の致すところ。これからはずっとお傍にいさせて頂きます。夕食後も常に控えていればこのような不祥事を招かなくて済んだものを、申し訳ございません」
「いやいや、だからいいって」
リーラは意外な熱意でもってズイッと身を寄せてきた。
「これからは何でも仰ってください。式森様に快適に過ごしていただくのが私たちメイドの務め、延いてはわたくしの望みです。全身全霊をかけてどのようなご要望もお応え致しますので」
「いや、あの……ちょっと?」
「ご不満がございましたら遠慮なく仰って下さい。どのようなことでも直ちに改善いたします。式森様のためにわたくしたちはございますので、遠慮は無用です」
「近い近い……」
「昼だけでなく、その……夜、なにかお休みになられないことがございましたら、いつでも――なにをお求めになっても構いません。わたくしたちは――いいえ、わたくしは喜んでお応えいたしますので」
「ちょっとちょ
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