第三話
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。暑いか寒いかどっちかにしろってんだ」
ため息をつくメイドさん。なんというか、お疲れ様だね……。メイドってこんなにハードだったんだなぁ。
舐めてたわー、と黄昏れる俺はふとこのメイドさんの名前を知らないことに気が付いた。
「ところで、君なんていうの?」
「あ? ああそうか、まだ名前言ってなかったっけ。あたしはセレンってんだ」
「セレンさんね。で、そのセレンさんはサボってていいの?」
「セレンでいいって。そりゃ駄目だけど、あたしはリーラと違って家事を何時間も出来るように作られちゃいねぇんだわ」
ひらひらと手を振るセレンさん――セレン。
「でもそれってメイドさんの仕事だよね」
「人によるの。家事が得意な奴がいれば、戦闘が得意なメイドもいる。あたしは前から流しでメイドやっててさ、いろんなところに派遣されんのよ。MMMってのは宿敵が多いからな。その分ドンパチも多くなって、戦闘や訓練に費やす時間も多くなる。ということは家事をやる時間もなくなるってわけ。お分かり?」
「でも、他の人もやってるんだよね?」
「うっ、そりゃそうだけどさぁ……。っていうか、あんたって見た目相応に可愛くない奴だねぇ」
「大きなお世話だ。そもそも、メイドさんって戦闘もやるの?」
なんか段々メイドさんに対するイメージが崩れてきたんだけど。この人然り、ここのメイドさんたちは戦い慣れしているようだし。
「当然だろ。今時のメイドは掃除洗濯炊事、育児に看護介護、個人戦闘もこなせねぇと一人前とは言えないんだわ。誰でも武器くらいは使えるぜ。ま、あたしは傭兵みたいなもんだから例外だがな」
な、なんかすごいなメイドさん……。日本では司法書士の国家試験合格率は約三パーセントだって聞いたことがあるけど、メイドさんってそれよりも困難な職種じゃなかろうか?
「特にリーラのようなメイド長になったら将校過程だぜ。あいつはここのメイドのボスだから、主人の身の回りの世話は勿論、金融派生商品の扱いから戦闘機の扱い、はたまたカウンセリングの心得まであるときたもんだ。サイボーグのような女だよ」
肩を竦めるセレン。
「実際、ここの主人がこの土地を維持出来ているのも、すべてリーラの手腕によるものだ。こことヨーロッパの土地、スイスとオーストリアの銀行にある資産。ベルギーとルクセンブルグにある会社。それらすべてをあいつ一人で管理運営してんだ。しかも財は減るどころか右肩上がり。メイド趣味の親父じゃなくても誰もが一財産投げ打ってでも雇いたい女だね」
「はー……それはまた、すごいね」
あの歳でそれほどの能力があり功績を残すとは、それでいてあの
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