第三話
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……。出過ぎた真似を致しました」
頭を下げるリーラさん。うぅ、罪悪感が……。心なしか、落ち込んでいるようにも見えなくもないし。
「……はあ、仕方がないな」
口元にある吸収缶を取り外し、その下の面にある蓋をカパッと開ける。丁度、口元を覆う部分が蝶番状で開閉が可能となった。人がいる場所で飲食を迫られた時はもっぱらこのようにして摂食している。
「いけません。お気遣いは無用です」
慌てて止めようとするリーラさんに笑って頷く。
「ああ、大丈夫だよ。顔を見られなければいいから、口元だけならギリギリOKかな。マナーには反するけどね」
取り外した吸収缶をポケットに入れ、傍らに佇むメイドさんを見上げる。
「じゃあ、給仕をお願いしてもいいかな? 生憎こういった料理は食べる機会があまりなくてね」
「――はい、お任せください」
輝かんばかりの笑顔を見せたリーラさんはその後、完璧な給仕をしてみせた。食べ終わった料理を絶妙なタイミングで片し、待たせることなく次の料理を運ぶ。いたりつくせりとはまさにこのことだな。
「しかし豪勢だねぇ。いいの? こんなの食べちゃって」
「勿論です。これらはすべてお客様のためのものですから」
「そっか。フォアグラなんて初めて食べたよ。この辺でガチョウ飼ってるのかい?」
「いえ。フランス産です。当地で自給できる食材は限られておりますので」
「ああ、そっか。島だもんね。ほとんどは輸入かい?」
「はい。水だけは少量ですが湧いておりますので確保できますが、食料の大半は島の外から購入したものです。これらは空輸されました」
「ふーん、なるほどねぇ」
恐らく船も出ているだろうから島への輸入手段は船と飛行機。パッと見たところ森が多いから自給できるものといったら果物と水くらいか。家畜を飼っているかは不明だから肉類は保留だな。そうなると、調味料を始めとした食材や武器、弾薬、医療品なんかはすべて輸入となる。
もし戦闘になったら、まずは――、
「式森様、いかがなさいましたか? お口に合わなかったでしょうか」
「え?」
気が付けば、考えに没頭していて手が止まっていた。不安そうにリーラさんが訊いてくる。
「ご不満な点を仰って下さい。きつくコックに申しておきます」
「ああ、いや、不満なんてないよ。ちょっと考え事をしていてね」
「そうでしたか。お考えを中断させてしまい申し訳ありません」
「いやいや。食事中に考え事をする俺がいけなかったから、リーラさんが頭を下げる必要なんてないよ」
苦笑した俺はふとあることに
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