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魔弾の射手
第三幕その三
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「そして」
 さらに辺りを見回した。
「女達はまだか」
「そういえば遅いですな」
 クーノも猟師達も辺りを見回した。
「ですがかえって好都合ですな」
「どうしてだ?」
 オットカールはクーノに問うた。
「娘がいないうちに試験が出来るからです」
「花嫁の前で自分の栄光を見せられるではないか」
「そう考える者もおりますが」
 クーノはここでこう断った。
「そうでない者もおります。とりわけマックスは」
 そう断ってから話した。
「善良な若者です。そして純粋です」
「それは知っているつもりだ」
「だからこそ娘を前にして試験をさせたくはないのです」
「緊張するということか」
「はい。ですからここは早く済ませたいのですが」
「そういう考えもあるが」
 だがオットカールはその提案には否定的であった。
「これは古いしきたいだ。それはわかっていよう」
「はい」
 クーノもそれは知っていた。試験射撃は花嫁となる娘の前で行うしきたりなのである。
「それはわかっているな」
「無論です」
「ならばよい。確かにそなたの気遣いはわかる。だがな」
 オットカールは言葉を続けた。
「そうした緊張にも勝たなければならないのだ。わかるな」
「はい」
「だがな」
 しかし彼はここで譲歩することにした。
「古い猟師達が別の考えならばそれを聞こう。どうだ」
 その古い猟師達だけでなく若い猟師達にも問うた。
「そなた達の考えを聞きたい」
 彼は人の話をよく聞く領主として知られていた。こうして他の者の意見もよく聞いたのである。
「はい」
 皆それぞれ口を開いた。
「早いうちに済ませるべきだと思います」
 一人がそう言った。
「ほう」
 オットカールはそれを聞いて眉を少し上に上げた。
「私もです」
 別の若い猟師もそう主張した。
「ここはクーノ様の御考えに賛成します」
「マックスに楽な気持ちで試験を受けさせてやって下さい」
「そして彼に花嫁を」
 皆すぐに試験をはじめることを主張した。
「わかった。皆の考えはよくわかった」
 オットカールは全てを聞き終え鷹揚に頷いた。
「決まったぞ、マックス」
「はい」
 再び彼に顔を向けた、マックスはそれに応える。
「今すぐに試験を行う。よいな」
「わかりました」
 マックスはここでは胸の中の不安を押し殺した。
「はじまるか」
 カスパールは何時の間にか木の上に登っていた。そしてそこからマックス達を見ている。
「丁度来ているし」
 下を見る。そこには着飾ったアガーテ達がいる。
「魔王の呪いからは逃げられんさ。地獄で仲良くな」
 ニヤニヤと笑いながらそれを見ていた。マックスはオットカールに挨拶をしていた。

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