暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
二人の乱入者
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。着陸がミソだな、これは…………」

緊張感のない声とともに立ち上がったのは、浅黒い肌の男性プレイヤーだった。

つんつんと尖った威勢のいい髪形、やや吊り上った大きな眼、どことなくやんちゃな少年といった気配だ。背中から伸びるクリアグレーの翅はスプリガンの証である。

はるか東の辺境にテリトリーを持つスプリガンがこんな所で何を、と思いながら彼の装備をチェックしたリーファは眼を疑った。

黒い簡素な胴着(ダブレット)にズボンのみでアーマーの類はなく、武器は背中の貧弱な剣一本。

どう見ても初期装備そのままだ。初心者(ニュービー)がこんな中立域の奥深くに出てくるとは何を考えているのか。

右も左もわからない新米プレイヤーが無残に狩られるシーンを見るに忍びなく、リーファは思わず叫んでいた。

「何してるの!早く逃げて!!」

だが黒衣の少年は動じる気配もない。まさか多種族間ならキル有りというルールを知らないのだろうか。右手をずぼっとポケットに突っ込むと、リーファと上空のサラマンダー達をぐるりと見渡し、声を発した。

「重戦士三人で女の子一人を襲うのは、ちょっとカッコよくないなぁ」

「なんだとテメエ!!」

のんびりとした言葉に激昂した二人のサラマンダーが、宙を移動して少年を背後から挟み込んだ。

ランスを下方に向け、突進の姿勢を取る。

「くっ………」

助けに入ろうにも、リーダー格の男が上空でこちらを牽制しているため、うかつに動けない。

「一人でノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねぇのか。望みどおりついでに狩ってやるよ!」

少年の後方に陣取ったサラマンダーが、音高くバイザーを降ろした。

直後、広げた翅からルビー色の光を引きつつ突撃を開始。後方の一人は、少年が回避したところを仕留めるべく時間差で襲い掛かるつもりらしい。

到底ニュービーにどうにかできる状況ではなかった。ランスが体を貫く瞬間を見たくなくて、リーファは唇を噛んで眼を逸らせようとした───その寸前。

信じられないことが起こった。

右手をポケットに突っ込んだまま、無造作に左手を伸ばした少年が、必殺の威力を孕んだランスの先端をがっしと掴んだのだ。

ガードエフェクトの光と音が空気を震わせる。あっけに取られて目と口をぽかんと開けるリーファの眼前で、少年はサラマンダーの勢いを利用して腕をぶんと回すと、掴んだランスごと背後の空間に放り投げた。

「わあああああああああ」

悲鳴を上げながら吹っ飛んだサラマンダーが、待機していた仲間に衝突し、両者は絡まったまま地面に落下した。がしゃがしゃん!という金属音が重なって響く。

少年はくるりと振り返ると、背中の剣に手をかけ───そこで動きを止めて、やや途惑ったような表情で
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