暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
二人の乱入者
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鎧を鳴らして駆け寄ってくる気配。リーファはやむなく樹の陰から飛び出す。一回転して立ち上がり、抜剣して構えると、三人のサラマンダーも立ち止まってランスをこちらに向けてきた。

「梃子摺らせてくれるじゃねーの」

右端の男が兜を跳ね上げ、興奮を隠し切れない口調で言った。

中央に立つリーダー格の男が、落ち着いた声で言葉を続ける。

「悪いがこっちも任務だからな。金とアイテムを置いていけば見逃す」

「んだよ、殺そうぜ!!オンナ相手超ひさびさじゃん」

今度は左の男が、同じくバイザーを上げながら言った。暴力に酔った、粘りつく視線を向けてくる。

一年のプレイ経験から言うと、この手の《女性プレイヤー狩り》に執着を見せる連中は少ないとは言えない。リーファは嫌悪感で肌が粟立つのを意識する。卑猥な言葉を発したり、戦闘以外の目的で無闇と体に触れたりすれば、ハラスメント行為で即座に通報されてしまうが、殺傷自体はゲームの目的でもあるがゆえに自由だ。

VRMMOで女性プレイヤーを殺すのはネットにおける最高の感覚とうそぶく連中すらいるのだ。

正常に運営されているALOですらもこうなのである。いまや伝説となった《あのゲーム》の内部はさぞ………と思うと背筋が寒くなる。

リーファは両足でしっかりと地面を踏みしめると、愛用のツーハンドブレードを大上段に構えた。サラマンダー達を睨む。

「あと一人は絶対に道連れにするわ。デスペナルティの惜しくない人からかかってきなさい」

低い声で言うと、両脇のサラマンダーが猛り立つように奇声を上げながらランスを振り回した。

それを両手で制しながらリーダーが言った。

「諦めろ、もう翅が限界だろう。こっちはまだ飛べるぞ」

確かに、言われたとおりだった。

ALOにおいて、飛行する敵に地上で襲われるのは絶対的に不利なポジションである。一対三となれば尚更だ。

しかし諦める気はない。金を渡して命乞いをするなどもってのほかだ。

「気の強い子だな。仕方ない」

リーダーも肩をすくめると、ランスを構え、翅を鳴らして浮上がった。

左右のサラマンダーも左手にスティックを握り、追随する。

たとえ三本の槍に同時に貫かれようと、最初の敵に全力を込めた一太刀を浴びせる覚悟でリーファは腕に力をこめた。敵が三方からリーファを取り囲み───今まさに突撃しようという、その時だった。

突然後ろの灌木ががさがさ揺れると、黒い人影が飛び出てきた。

それはサラマンダーのすぐ横をすり抜け、空中でぐるぐる錐揉みしたと思ったら、派手な音を立てて草の中に墜落した。

予想外のことに、リーファと三人のサラマンダーの動きが止まった。あっけに取られて闖入者を凝視する。

「うう、いてて………
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