霧の森
有罪決定
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か。
セリナにはこっちから積極的にアプローチしないけど。まだ一か月もたってないんだし。
「さて、調査隊が面白いものを拾ってな。これだ。」
伯が使用人に指示して彼に出させたのは一枚の旗だった。しかしそれには見覚えがあった。
白地に赤い十字その交点から出る黄色い無数の線。間違いない、白光教会の連中が持っていた旗だ。
「『時見の魔法』で調べた結果、これが白光教会の旗印であることがわかり、この旗の記憶から君が見えた。そこで戦闘になったんだね?」
「ええ、そうです。」
「そこで君に頼み。いや、試練を与えたい。この連中を駆除して欲しい。」
「駆除?」
「そう、駆除だ。」
この後伯による説明があった。要約すると人間至上主義を抱える彼らは自分たち亜人種に害を及ぼす恐れがあるため駆除して欲しいとのこと。その褒賞としてオレに爵位とエリザを与えるとのこと。
無茶苦茶だ。しかも駆除だ。鎮圧ではない。文字通り無くして来いと言っている。
ついでだがクスィー伯は人間ではない。エルフという種族だ。
「……。わかりました。やってみましょう。ただしオレとセリナとでやらせてください。」
「セリナ?ああ、あの女のこと?なぜあの貧弱そうな女とするのですか?あたくしの方が何枚も上手ですのに。」
「あいつはオレと同郷の人間だ。信頼するのは当然だろう。まだ会って間もない姫様とはできません。」
しばらくオレ達の間に緊張が走る。エリザはオレを睨み付け、伯は何か熟考するように見える。それを黙って見るオレ。
「……いいだろう。その娘は先に帰らせた。良い結果を待っている。」
「はい。」
使用人に案内され元来た道を戻り表門から出る。一度城を見上げてから歩き出す。
いろいろおかしなことになってきた。転生二年目でこのイベント。普通なら転生してすぐに始まるはずのイベントが今起こるとは。
転生してすぐならこのイベントも喜んで受けたが、今は守りたいものがある。自分の身だけ気にしていればいいわけではない。セリナを守らなければいけない。
オレは町へと続く道を歩く。愛すべき者の元へ戻るために。
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