第二話「魔物との戦い」
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
タチカゼは、街道を行く。本来なら関所などが多数ある、街道などは旅を急ぐ身としては通りたくはないものだが、王じきじきの書文もあることだし関所で手間取ることはないと踏んだのだ。
街道近辺には、旅の者を襲って金品を強奪する魔物がよく出る。
村では子鬼と呼んでいる魔物は、小知恵が効いて山賊まがいのことをやる。子鬼には大鬼という群れのなかではひときわ大きいものが混じっていることがあり、そいつには矢はおろか、剣もあまり効かない恐ろしい存在だ。
すると、向こうから鎧兜を付けた男たちが、わらわらと逃げてくるのが見える。この向こうには、最初の関所がある。
「わあああ、助けてくれ!ゴブリンの群れだ、関所を乗っ取られた」
なんとも情けない。関所を任されてるからには王国の正規兵だろうに子鬼ふぜいに逃げ出すのか。
村では子鬼の襲撃など矢の雨を降らせてさんざんに打ち取ったものだ。
「恐れるな、助太刀いたす」
タチカゼは馬を駆って関所に向かった。子鬼どもは、気づいたのか、錆びた剣やなたを持って、こちらへすばしっこく群がってきた。まるで猿だ。
タチカゼは、刀を抜くと、馬上から鋭い一撃を見舞う。たずなさばきは見事なもので、馬を傷つけまいと、すばやく切り返す、まさに人馬一体の攻防を見せて
いた。
子鬼どもが、馬の後ろに来ようものなら、馬の後ろ足で顔がひしゃげるほどの蹴りを食らわした。しかし、子鬼どもも攻め方を知ったらしくこちらの誘いにのらなくなってきた。右に左に飛びすさって馬上では捉えられない。
タチカゼはそうと見るや、馬を駆け出し、敵陣を破り、少し離れたところまでかけたあと、馬を下りて白兵戦に出た。
追ってきた子鬼どもは案の定、足の速いものから先に打ってかかってくる。子鬼にはやはり知恵などないな、と、タチカゼはにやりとした。隊列を組むということを知らぬ、タチカゼの刀が届くところに来ると足の速いものから確実に一太刀で打ち取れる。
一人、二人、五人、続けざまに切ったあと、やっと相手のほうもわかったと見え、前のほうの奴が止まれと合図した。
しかし、子鬼どもはどんどん出てくる。物の数ではないが、ここまで来ると一人ではやりにくい。
その時だった。子鬼どもの後ろから、歓声が上がる。
自分が子鬼どもを相手してる間に、逃げに走っていた兵たちが関所を奪いかえしたのだ。タチカゼは、自然と笑みがでる。
そのときだった、タチカゼは、子鬼の一人が矢と弓を武装してるのを見て、その子鬼を切り倒し弓矢を奪った。状態もよく、ふつう子鬼が触った武器はだんだん子鬼の体の毒により錆びてくるのだが、この
子鬼、弓矢を使えもしないでもっていたようだ。
村の長のことばを思い出した。
「子鬼の武器は、錆びているから、一太刀も受けてはならぬ。受ければ、そこから皮膚が腐食
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ