機動戦士ガンダムSEED
0188話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
M1アストレイのOS開発から数日、俺はアークエンジェルのブリッジでマリュー、ナタルやブリッジクルーと共にキサカの話を聞いていた。ブリッジの外、ドックの中では今この瞬間もアークエンジェルの補修作業が続けられており、あちこちでモルゲンレーテの技術者達が動き回っている。
「目下の情勢の最大の不安材料はパナマだ。ザフトに大規模作戦ありとの噂のおかげでカーペンタリアの動きはかなり慌ただしい」
「どの程度まで分かっているのですか?」
キサカの言葉に、ナタルが質問する。連合軍の軍人としては出来るだけ情報を集めておきたいのだろう。
「さあな、オーブも難しい立場にある。情報も欲しいが藪蛇は御免でな。だが、アラスカに向かおうという君等にはかえって好都合だろう」
「万一追撃戦があったとしても、北回帰線を越えればすぐにアラスカの防衛圏ですからね。奴等もそこまでは深追いしてこないでしょう」
ブリッジに表示されている周辺の地図を見ながら、ノイマンがそう呟く。
そのノイマンの言葉に頷き、マリューがキサカへと声を掛ける。
「ここまで追って来た、例の部隊の動向は?」
「一昨日からオーブ近海に艦影はない」
「引き上げた、と?」
「また外交筋ではかなりのやり取りがあったようだからな。そう思いたい所だが」
「アスハ前代表が当時、この艦とMSの事をご存じなかったというのは本当ですか?」
「バジルール中尉!」
「確かに、前代表も知らなかった事さ。うちの閣僚が大西洋連邦の圧力に屈して独断で行った事だ。モルゲンレーテとの癒着も発覚した。オーブも陣営を明らかにすべき、という者達の言い分も分かるがな。そうして巻き込まれれば、火の粉を被るのは国民だ。ヘリオポリスのようにな。それだけはしたくないと、ウズミ様は無茶を承知で今も踏ん張っておられるのさ。君等の目には甘く見えるのかもしれんがな」
……はたして、本当にそうか? この前ウズミと実際に会った俺が感じた印象は本物の政治家だという事だ。そこら辺にいる政治屋ではなく。あれ程の器量を持つ人物が、果たしてMSという有効な兵器の開発を躊躇するだろうか?
国民に火の粉を被らせたくないというのも分かるが、実際に連合なりザフトなりに攻められた時にMS相手にこれまでの通常兵器で対抗するのが厳しい事は連合軍が証明している。あのオーブの獅子がそんな事を理解出来ないなんて事はない筈だ。そうなると大西洋連邦からの圧力というのも、ある意味では渡りに船だったのかもしれない。少なくてもオーブだけでMSを開発するよりは期間を短縮出来たのだから。
「修理の状況は?」
「明日中には、と連絡を受けています」
「後少しだな。頑張れよ」
そう言ってくるキサカに敬礼をするブリッジクルー。俺は軽く手を振るだけにしておく。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ