第二話 ギフトゲーム
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し。実力調査と箱庭の水準を測るにはもってこい、ということですね」
「まあ、そうなるのう」
犬種最強の実力者。その言葉が、勝の心に劫火を灯した。今までの穏やかな雰囲気はガラリと変わり、構えを取る。完全に、臨戦態勢の状態になる。
「その挑戦≠、喜んでお受けしましょう」
「うむ。頑張るがよい」
すると、会話の終わるのを見計らっていたかのように、ガルムが目の前へと現れた。
その巨躯は、今更になって脅威と実感させられる。あの奇襲をした時には、ただ森の中で動きにくく当てやすいだけの体だったが、生憎ここは平原。障害物など無いに等しい場所である。
森の中と違って動きが制限されない分、こちらのアドバンテージのほとんどが削られたといってもいい。それほどに、勝は平地での戦いが苦手だった。
『貴様は相変わらず、妙な力を発しているのだな』
「それはどうも。良ければ是非、その力の正体をお教えしていただきたいものです」
『このゲームに勝つことが出来れば、その正体もすぐに分かるだろう』
「そうですか。ますます、このゲームに負けられない理由が出来ましたね」
軽口を交わし、それが終われば沈黙が流れる。両者、まさに一触即発の緊張感に包まれる。これが、本当の戦い。それを経験できると思うと、全身の細胞が狂喜狂乱するのを抑えられない。
勝の表情が僅かに歪む。それは戦いを出来る嬉しさからか、あるいは狂喜に支配されてしまったからか、それは分からない。
ガルムの目の前に迫り来る小型のナイフ。刹那のタイミングでそれを避けると同時に、ガルムの体が宙に打ち上げられる。
(――ッ! いつ、ナイフを投擲したのだ!? それに、今の刹那にあの距離を縮めるか!?)
打ち上げられながらの驚愕。ナイフの投擲のタイミングはおろか、相手が近づいている事にすら気づかなかったこの現状。ただ分かったことは、何らかの体術で顎を打たれ、そのまま宙に舞ったことのみ。
(この少年には、一体どんなギフトが・・・・・・!?)
正直に言えば、あり得ないといいたいところだ。ガルムは神格保有者であり、さらにその洞察力と危機回避能力、身体能力は上層以上の階層を除く誰よりも優れていると自負していたほどだ。
しかし、この少年は今、ガルムの洞察力と危機回避能力が正常に機能しないほどの身体能力を発揮したのだ。更に、明らかに体重はこちらの方が重く、持ち上げるのすら大変な重さだというのに、その巨躯を宙に打ち上げる打撃の力。
一体、どういうメカニズムで動いているのだろうか? そう思ってしまうほどに、今の勝の強さは異常なのだ。
『なめるなよ小僧ォ!』
宙に舞いながらも、勝の首筋を爪で引き裂こうとするが、それは屈むこ
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