暁 〜小説投稿サイト〜
気合と根性で生きる者
第二話 ギフトゲーム
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に挑もうと彼は足を進める為に足に力を入れる。地面を蹴り、彼女に全速力で近づこうとした。そして懐にある折り畳み式のものとは別の毒が塗られたナイフで斬りつけようとした。

 しかし、出来なかった。何故かは彼が一番よく分かっていた。

 まるで地面に縫い付けられているかのように、足が動かないのだ。いや、それは言い訳に過ぎない。出来なかった理由は、もっと他にあるのだ。

(まさか、恐怖で足が動かないのか? そうか。今の僕には、彼女の器量を試すのはおろか、決闘をすることすら出来ないのか――いや、これが当然なのかもしれない。準備も何も出来ていない状態で僕が立ち向かっても、きっと彼女は瞬きの間に僕を絶命、気絶させることが出来る。今は底無しを探究する時ではなく、それを探究する準備の期間なんだ)

 焦る事は無い、と自分に言い聞かせ自身を落ち着かせる勝。いつも通りの彼に戻ったかと思うと、今まで見たことの無いほどの純粋な笑顔を白夜叉に向けた。

「本当なら今すぐ決闘≠申込みたいのですが、今は挑戦≠ナ我慢することにします。僕はまだ、準備期間中なので」

「ほぅ? つまりおんしはいずれこの私に決闘≠挑むつもりなのか?」

「当然。底無しへの探究こそが、僕の生甲斐ですから」

 勝のキッパリとした物言いに、白夜叉は満足したような笑みを浮かべると、パンパンと柏手を打つ。

 すると、勝の目の前に契約書類≠ェ出現した。勝はそれを手に取って内容に目を通すと――

『ギフトゲーム名 軍神殺しの番犬

 ・プレイヤー一覧 古東 勝

 ・クリア条件 ガルムの無力化
 ・クリア方法 ガルムをどの様な方法でも良いので、十秒間以上行動不能にする
 ・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
 
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
                            サウザントアイズ∴ 』

「――さっきのガルムに加担でもしたんですか?」

 不機嫌そうに問う勝に対して、白夜叉は意地の悪い笑みを浮かべて口を開く。

「あやつは新しい遊び相手を欲していた故に、今回このゲームを採用させてもらった。今は用意が無い故、不満があるというのであれば、もう少し難易度の低いものを――」

「それは勘弁。それと一つお聞きしたい。箱庭でのガルムは――強さでいえばどれくらいですか?」

「ふむ・・・・・・どれくらい強いかと問われれば――――うむ。大雑把ではあるが、五桁の外門の魔王並みの実力であることを、この私が保証しよう。何せあやつは、軍神テュールを噛み殺したといわれる――犬種最強の実力者だ」

「なるほど。相手にとって不足な
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