第二話 ギフトゲーム
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とによって躱され、さらにクラウチングスタートの体勢をとったかと思うと、勝のその姿が消えた。
『――ッ!』
ガルムへの激しい衝撃。同時に、頭が割れそうな程の激痛が走り、そして今自分が地面をバウンドしながら転がっていることに気付く。
(な、何なのだ。この少年は!?)
目視することすら許されない速度。自分が何をされたのか分からず、遅れて自分の状態が分かるという、状況認識という情報が遅れて伝わってくるこの感覚。
しかし、ガルムもそう易々と負けるわけにはいかない。仮にも軍神を相打ったほどの実力、犬種最強と詠われてきた存在なのだ。その誇りが、そのようなワンサイドゲームで負ける事を許すはずがなかった。
ガルムは五感の全てを使って索敵する。どの方向から、いつやってくるのか。正確な場所特定は出来なくとも、どの方向から来るかさえ分かればこっちのものである。
全身の感覚を研ぎ澄ませる。風の音を聞き、嗅覚で臭いを探し、目では少年が何処かに現れないかと警戒し、皮膚で敵を感じ取る。
刹那、その全てに反応があった。目の前に突如現れ、風により臭いを拾い、風の音が乱れ、気配がピリピリ皮膚で感じ取れた。
今度も数瞬だけ後手に回ったが、今はそれでいい。ガルムはその大口を大きく開き、蹴り技をしようとした足を食い千切る勢いで噛みつく。
「ッ!」
鮮血が飛び散る。少年の脚部からの鮮血である。ガルムに噛みつかれ、噛み千切られはしなかったものの、その獰猛な犬歯は勝の脚部の奥深くまで食い込んでいる。
(ああ、もう! どういう筋肉をしているのだ、この少年は!?)
食い千切る勢いで噛みついたはずなのに、その歯は途中で筋肉? により止められ、有効な一手を打てたとはいえ、悪い意味で計算外のこの状況に、驚愕を隠せない。
このまま足を千切る為に引き摺りまわそう、そう思い足に力籠めようとした刹那、ガルムの脚は自身のその体重を支え切れなくなり、転倒してしまう。同時に、歯を食い込ませていた勝の脚部から、その歯が抜け、自由な状態になる。
「――ッつぅ・・・・・・でも、これで十秒経てば、僕の勝ちです」
『ッ! させるか!!』
勝に言われ、ガルムは何とか起き上がろうと足に何度も力を入れる。何度も、何度も、何度も力を入れて立ち上がろうと試みるが、どれも立ち上がるどころか、動かすことさえ出来なかった。
そんな試みを何度もしている内に、約束の十秒が経過する。そしてそれと同時に彼の勝利が確定されたのだった――
(今の攻撃、ナイフに目線を釘付けにさせ、その瞬間に迫りその後の敵の動揺を誘う、か。いやしかし、今の投擲の早さと速度は人間の出せる限界を超えている筈。ならば、眼鏡
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