第二話 ギフトゲーム
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か、お嬢様方とその付添いの――」
ガルドと呼ばれた人物は言いながら、その巨躯を四人が座るテーブルの空席に勢いよく腰を下ろそうとしたが、勝の姿を見た瞬間に言葉を失うと同時に、思わず身震いをしていた。
ガルドをそんな状態にした当の本人――勝はと言えば、ただニコニコと無邪気な笑顔を眼鏡越しに作っていただけなのに・・・・・・ガルドにとっては、それが何よりも恐ろしく感じられた。
(な、なんだ・・・・・・? このガキ、一体何をしていやがる?)
決して、勝は臨戦態勢を取っている訳でもなければ、ガルドに対して敵意を向けている訳でもない。ただ好意的な笑みを浮かべているだけだ。
その筈なのに、ガルドにとっては・・・・・・そう。まるで、生存本能が働くかの如く頭が「この男は危険だから早く逃げろ」と言ってきているような感覚。
背中は既に冷や汗のせいで、まるで水を掛けられたように濡れていた。それと同時に、足が震えてきていた。
「・・・・・・? 何かお話があるのであれば、隣のお席にどうぞ」
「――ッ! あ、あぁ。――それでは、お言葉に甘えて失礼」
いきなりその少年に助け船を出され、ガルドは無意識の内に驚愕してしまったが、すぐに元の表の顔に戻ると、先ほど勢いよく座ろうとしたのを改め、ゆっくりと席に着いた。
「では、僕たちはまだ貴方の事を知らないので、自己紹介をお願いしてもよろしいですか?」
「おっと、これは失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ六百六十六の獣≠フ傘下である」
「烏合の衆の」
「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!! 誰が烏合の衆だ小僧ォォ!」
ジンに横槍を入れられたのが相当頭にきたのか、ガルドの顔は怒りで先ほどとは全く別の――いや、根本的な違いがあった。
口が耳元まで大きく裂け、肉食獣のような牙と先ほどまでの温厚そうに見えた目は激しい怒りのこもったギョロリと剥かれた瞳になり、それがジンに向けられる。
それを見て、ガルドという男の本質を悟ってしまったのか、勝は「はぁ」と小さく誰にも聞こえない溜息を吐き、話を片耳で聞きながら今後の方針について考える事にする。
(現状から考えて、僕が今コミュニティに入るメリットは・・・・・・安全に生活が出来ることと、情報を無所属より安易に手に入れる事が出来ること、くらいかな。箱庭に来たばかりの初心者同然の今の状態なら、その情報を手に入れるメリットは大きい、けど――)
ガルドの話を流して聞いてみれば、どうやらジンのコミュニティには、縄張りを主張する上で大切な旗印が欠損している上に、名前まで奪われているという最悪の状況下にあるようだが、同時に数年前までは東区画最大手のコミュニティとのこと。
一見にし
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