第二話 ギフトゲーム
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「ジン、だっけ。悪いけど、僕はここから別行動を取らせてもらうよ」
「えっ? そ、それは困ります! せめて、黒ウサギが戻ってくるまでは――」
「ごめん。僕はもうそろそろ限界なんだ――空腹が」
へっ? と不思議そうな顔をするジンと、言い終わると同時に鳴る勝の腹の虫。どうやら、勝は相当空腹のようだった。
「それくらいなら。元から何処かの店で何かを食べながらお話をしようと思っていたので」
「ありがとう。恩に着るよ。それで、御二人はどのお店がよろしいですか?」
砕けた口調から一変して、飛鳥と耀に話し掛ける時は敬語に。この切り替えの早さは賞賛に値するものだった。
「そうね――あのお店にしましょう」
飛鳥が選んだのは、六本傷≠フ旗を掲げるカフェだった。全員その店で異論は無い為、すぐにその店のカフェテラスに座る。
すると、注文を取るために店の奥から素早く猫耳の少女が飛び出てきた。
「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」
「えーと、紅茶を二つと緑茶と抹茶を一つ。あと軽食にコレとコレとコレと」
「ニャー(ネコマンマを!)」
「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね」
「? あぁ、耀さんの猫の注文ってことですか。猫の言葉がお分かりになるとは、羨ましい限りです」
「いえいえー。そんな大層な事じゃありませんよ。私は猫族なんですから。これくらいは出来て当然なんですよ」
「いえいえ、コミュニケーション取れるだけでも羨ましいですよ。僕なんて、顔を見られた瞬間に逃げられるんですよ?」
「あはは。またまた御冗談を。そんな穏やかそうな顔をしているのに動物が逃げるなんて考えられませんよ」
などと、その後しばらく四人は猫耳の少女と会話をしながら注文を取り、猫耳の少女がそれを再確認にして、店の奥に戻っていった。後は注文したものが出てくるのを心待ちにしながら、お互いに関係を深めるための雑談をするのみだったのだが――
「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ名無しの権兵衛≠フリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」
品の無い上品ぶった声がそれを台無しにした。振り返ると、2mを越える巨体をピチピチのタキシードに包む、逆立ったくすんだ金色の髪をした男が居た。
この明らかに嫌味な男は、不覚なことながらもジンの知り合いだった。
「僕らのコミュニティは、ノーネーム≠ナす。フォレス・ガロ≠フガルド=ガスパー」
「黙れ、この名無しめ。聞けば、新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ――そうは思いません
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