ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
Raging bull
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るで、GGOとALOという世界の壁を――いや、仮想と現実の境界をも飛び越えて生身の自分を照準されているかのような感覚に、背筋がすっと冷たくなる。
フードの奥の闇で赤く光る両眼がちかちかと瞬いた。それと同期して、機械的なぶつ切れの声が画面から流れ出した。
「……俺と、この銃の、真の名は、《死銃》……《デス・ガン》」
冷たい無機質さの奥に生々しい感情の歪みを押し包んだようなその声を聞いた瞬間、アスナの記憶の深い場所にこれまでで最大の軋みが生まれた。
「俺は、いつか、貴様らの前にも、現れる。そして、この銃で、本物の死をもたらす。俺には、その、力がある」
きりっ、と黒い銃が小さく鳴く。セラ、アード、ロイドが反射的に得物に手を沿える。もし今あの銃の引き金が引かれたら仮想のスクリーンを砕いて弾が飛び出してきそうに思えたのだ。
「忘れるな。まだ、終わっていない。何も、終わって、いない。―――イッツ・ショウ・タイム」
そのたどたどしい英語を聞いた瞬間、最後の、そして最大の衝撃……。
――私は、あいつを知っている。場所は彼の浮遊城。終わっていない、というあいつの言葉にはその名が隠されている。
「う……嘘だろ……あいつ……まさか……」
クラインが嗄れた声が響き、部屋の沈黙を破った。
「クライン、知ってるの!?あいつが誰なのか!?」
「い、いや……昔の名前までは……。ただ……」
しかし、クラインは恐怖に耐えかねたという様子で黙り込む。
「……《ラフコフ》」
その沈黙を破ったのはアードだった。ついで、カイトが後を続ける。
「間違いないな。喋り方に聞き覚えがある。確か、リーダーの《PoH》といつも行動していた、幹部クラスのやつだ……」
旧SAO組はそれっきり黙り込んでしまう。
「あの……、《ラフコフ》って……?」
気まずそうに三度目の沈黙を破ったのはリーファ、セラも同様に厳しい顔つきで聞き耳を立てている。
「ええとね……」
隣に座るシリカがラフコフの猛威とその消滅について説明する。
「なるほど。それで合点がいきました」
聞き終えたセラは一度目を閉じると、険しい目付きになり、話始めた。
「今の話とリーファの話から推測するに、キリトさんとお兄様はGGOにあの人が居るのを知っていたのでしょう」
「えっ……?」
「お兄ちゃん、夕べ遅くに帰ってきてから様子がおかしかったんです……。もしかしたら……昔の因縁に、決着をつけるためにGGOに……」
「因縁、か……」
カイトが呟き、セラを見る。
「セラ、ちょっと小耳に挟んだんだが、元ラフコフメンバーの死亡者数の内、12人分の罪がレイに着せられている、と聞いたが、本当か?」
「……
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