ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
Raging bull
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に視線を戻すと、勝利したはずのペイルライダーがばったりと倒れた。
よく見ると、右肩のダメージ痕を中心に細かいスパークが這い回り、アバターの動きを封じているように見える。
問題の画面をフォーカスさせ、横たわるペイルライダーを拡大する。突然の麻痺転倒から既に10秒以上が経過しているが、フレームには他の誰も入ってこない。赤茶けた大地と鉄橋、その下を流れる川と彼方の森が砂塵に霞んでいるだけ――、
ばさっ。
と、突然のサウンド。全員がぴくりと体を動かす。画面の端からいきなり黒い布地がフレームインしてきた。カメラが徐々に引いていき、その人物を全身を映し出した。
揺れるボロボロにほつるたダークグレーのマント。内部を完全な闇に隠すフード。
ぼろマントは右手を懐に差し込むと、黒いピストルを一丁取り出した。
「黒星五四式……。舐めてるんですか?」
セラが片眉を吊り上げて鼻をフン、と鳴らす。
「確か、旧ソ連陸軍が大昔に採用したトカレフを中国がコピーした粗悪銃、だったけ?」
セラの呟きに応えたのは意外にもロイドだった。
「ロイドさん、詳しいんですか?」
「いや、兄貴がガンマニアでGGOやってて……。名前は知らないけど、多分コレにも出てると……」
驚きの新事実だったが、セラはともかくという感じで説明に戻る。
「ロイドさんの言う通り、《黒星》シリーズはトカレフの模造品で、安全装置もなく、暴発が多くてあまり使われませんでした。貫通性重視の鋼芯弾を使うので、威力も然程ではありません」
つまり、とどめに使うには少々物足りない、と言っているのだ。
「だよなあ、肩のでけぇライフルのほうがパワーあるよな」
「弾代ケチッてんじゃないかしら?」
リオとユウリのコメントに一同がううむと考える間にも、ぼろマントは黒星の後ろの金具をきりりと起こし、倒れているペイルライダーに銃口を向けた。
次に左手を持ち上げ、人差し指と中指の先で額、胸、左肩、右肩の順に素早く触れた。
ちりっ、とアスナの頭の内側で何かが小さく引きつれた気がした。まるで、何か良くない事が起こる前兆のように……。
ぼろマントが地面で麻痺するプレイヤーに向け、無造作に引き金を引いた。
乾いた銃声。放たれた弾丸はペイルライダーの胸の真ん中に命中し、ささやかなフラッシュを生んだ。ぼろマントは追撃する様子を見せない。
「何を……」
セラが再び口を開きかけた、その刹那、
クローズアップされたプレイヤーの顔が驚愕と恐怖の色で染まっていた。次の瞬間、ペイルライダーは倒れたまま体を硬直させ、直後ホワイトノイズ的なエフェクトに包まれて消失した。
ぼろマントはカメラの方を向くと、右手の拳銃を真っ直ぐ向けた。ま
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