暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
Raging bull
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ねた螢が先日、竜斗(ロイド)を拉致して和人や明日奈に引き合わせた。
ありもしないわだかまりを取り払ったロイドはつい1週間前にALOを始めたのだった。

そんな他愛のない話をしている間に画面の試合は新たな局面に突入していた。
画面を16分している中央付近でレイがテンガロハットを被った拳銃使いと接戦を繰り広げる一方、その隣では【ダイン】というプレイヤーを【ペイルライダー】というプレイヤーが壊走させている。銃戦闘に関してはまるで素人のアスナから見てもどちらが有利かはっきり解った。

「あの人、強い……」

アードがスクリーンを見ながら呟く。全員がそれに同調しつつ、リズがふと思い付いたように疑問を口にした。

「しっかし、2人ともなんでまた、この大会に出ようって思ったのかしら」

2人が、ALOの仲間である水妖精(ウンディーネ)のメイジ、クリスハイト――の中身、総務省仮想課の役人、菊岡誠二郎からの依頼でGGOに赴いた事を知っているのはアスナ、リーファ、セラとユイだけだ。
妹2人の目から、返事は任せますの意図を汲み取ったアスナは、一瞬考えてから事のあらましを答えた。

内容は先日のデートの時に和人から伝えられたそのままだ。だが、アスナはそれが全て真実だとは考えていない。和人が真実の一部しか話さなかったのはそうせねばならない理由が何かあるのだ。

しかし今日、セラとあってから不安が際限なく湧き上がってくるのだ。それとなく確認したが、セラは『和人さんの護衛』としてレイがGGOに向かったということしか知らなかった。僅かな違和感がそこにはある。

事実ここ数日、胸の奥に、何か奇妙にざわめくものがあった。
2人への不信ではなく、漠然とした『嫌な予感』。平穏だった日常が少しずつ崩れていくような―――、

「おー、あの人強いね。なんか、こうして観てるとGGOもけっこう面白そうだなぁ。銃って自分で造れるのかな……」

ダイン対ペイルライダーはペイルライダーが圧勝し、それを見ていたリズが工匠妖精(レプラコーン)の彼女らしいコメントをする。思考が途切れ、アスナは思わず口を綻ばせた。

「リズまでGGOにコンバートするなんて言い出さないでよね。新アインクラッドの攻略、まだまだこれからなんだよ」
「そーですよ、リズさん!もうすぐ、やっと20層代のアップデートがあるんですから」
「そうえばそうだねー。……ところでアスナ?愛の巣を買うお金は貯まったかなぁ〜?」

ホルンの目がキラーンと光り、意味ありげにアスナを見やる。

「あ、あと少し……」

赤く頬を染めながら顔を逸らすが、ホルンは意地悪くその正面を追尾してきた。

「その辺にしなさい」

ひょい、とカイトに襟首を掴まれ、ようやくホルンは大人しくなった。
画面
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