猫耳フードの男が大嫌いな少女
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らいの距離で、かなりの声量で声をかけているからだ。
小さくため息を吐いて、俺は少しだけ顔を近づけて。
「聞こえているかぁ?」
「ひぃっ!?」
押して駄目なら引いてみろ。
大声を出さずに、耳元で甘い言葉を吐くように囁いた。
効果はあったようで、身の毛を立たせながら数歩下がったが、視線は俺に向けている。
「アンタ、馬鹿じゃないの!?
最悪・・・耳元で男に囁かれるなんて、妊娠でもしたらどうするのよ!!」
いや、その理屈はおかしい。
確かにこちらに気づかせるために、少し意地悪い事をしたがまさかここまで怒りを露にするとは思わなかった。
まぁ、俺も耳元であんな風に囁かれたら思わず刀を抜いてしまいそうだけど。
あれ・・・これって俺が悪いのか?
「お前が俺の声が聞こえているのに無視するから悪いんだろ?」
そうだ。
この子が無視するから悪い。
俺は悪くない!・・・・・多分。
「それで何の用よ?
私はアンタ何かに用はないのだけれど。」
俺に囁かれたのが死ぬほど嫌だったのか、少女は殺気を籠った視線を向けてくる。
「糧食の再点検の帳簿を確認、受け取りに来た。
監督官はどこにいるのか教えてくれないか?」
「どうして教えないといけないのよ?」
「華琳からの命令でね。
だから、早めに」
「ちょっと何で、女の耳元で気持ち悪い言葉を吐く奴が、曹操様の真名を呼んでいるのよ!?」
やっぱり、そう思われても仕方がないよな、さっきのあれは。
内心、少しだけ落ち込む。
少女は目を伏せ、何かを思索した後。
「名前。」
「あっ?」
「名前を教えなさい。
この私自らが男の名前を聞いてあげるなんて、最初で最後なくらい名誉な事よ。」
色々と言いたい事はあったが、ここでそれを言えば話がこじれそうなので喉元で押し留める。
「関忠統だ。」
「関忠統・・・最近、噂になっている天の御使いの従者で有名な武人。
曹操様の傭兵として働き真名を預かった、一番妬ましく憎い男。」
「最後の方はあまり聞きたくなかったのだけれど。」
「でしょうね。
聞かせたくてわざと声を大きくさせたのだから。」
うん、この子は性格が悪い。
特に男に対して。
しかし、少女はもの凄く不愉快そうな顔をしながら帳簿を渡してきた。
これを渡さないと華琳達はいつまでも進軍できない。
俺だけが被害をこうむるのなら少女は渡してこなかったかもしれないが、華琳が求めているのなら不満があっても渡してくる。
ほんの数分だが、この子は華琳に崇拝している。
それもかなり。
何が原因でこうなったのか少し興味あったが、おそらく答えてくれないだろうし、聞いている時間もない。
礼を言いなが
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