29*手袋は投げとらんぞ
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る。
しかし、運命はそれを許さないようだ。
走る実際の目の前に、いきなり誰かが意図的に出て来たのだ。
もちろんそれに自分はぶつかり、痛い思いをした。
そして、そのぶつかった奴はと言うと。
「おいおいおい、ちゃんと前を見て歩きたまえ。……おや、誰がと思えば戦しか能のない黒兵士ではないか」
金髪金眼の嫌みったらしいキザな男がそこにいた。
男は17歳くらいで、自分より20センチは小さく全体的に細く華奢な感じである。
ただ、頭に二つの触覚がある。
そしてその男は見た目通り、嫌みな言葉をつらつら連ねる。
「たしか君は魔力がなく、武芸しか出来ない落ちこぼれだったな。この前は運よく武勲をあげたようだが、実際はどのようなものだか……」
………こいつ、存在が駄目だ。
拷問楽器『妖謡・魔』(イビルストリンガー)でも食らわせてやろうか?
とかなんとか、危ない事を考えてるとシルバちゃんが自分の腕をギュッてしながら
「あなたに先生の何がわかるって言うの!!いますぐ謝りなさい!」
こう叫んだ。
対象はもちろんあのキザ男。
しかしキザ男はそんな彼女の攻撃をものともせずにこうのたまった。
「ふん、僕は自分より下の者には謝らないよ。それよりシルバ・ランドルフ嬢、こんなのはほっといて僕と一緒にいないかい?」
「誰が女たらしのサザールスなんかと!私は不幸になるってわかっててついていく程馬鹿じゃありません!そんな事より今すぐ謝れ!!」
……あ、闇化しそう、この娘。
確かにこいつはムカつくし、シルバちゃんが自分のために怒ってくれるのはうれしいが、ここで覚醒されたら、ねぇ。
とりあえず、落ち着かそう。
「シルバちゃん落ち着いて。弱い犬程よく吠えるんだ、いちいち小物の相手をしても時間と体力の無駄だよ。それより早く部屋に戻りたい」
そう言って、彼女の手をとりこの場を後にしようとする自分。
だがしかし
「ま、まちたまえ!!」
キザ男がなんか呼び止めはじめた。
「弱い!?僕が小物!?君は僕が誰かわかっててそんな暴言を吐くか!?」
はぁ?
何言ってんのこいつ。
「いやしらねーし。つか知る必要性がねーし。何お前自意識過剰?ナルシーはキモいだけだよ」
自分の言葉に顔を真っ赤にさせながら怒るキザ男。
あー、ナルシストはこれだから。
「ぼ、僕の名前はグルーム・サザールス!!ガーリクル・サザールス公爵の息子だ!!」
へー、そーなんだー。
「………で?」
「は?」
「いやだから、あんたの親父が公爵なのはわかるが、あんたは何?まさか親父が公爵だからってだけで威張ってる訳じゃないしょ?それは親父の地位であってお前の地位じゃないし」
この
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