29*手袋は投げとらんぞ
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そんな些細な疑問を頭に浮かべている間に、エリザは顔を微妙に赤くしながらそっぽを向いて叫びはじめた。
「ふん!自分の嫁をほったらかして一人で突っ立ってる奴に言われたくないわ!なぁシルバ!」
「みゃう!!」
尻尾を踏まれた子猫みたいな悲鳴が貴族の群れの中から響きはじめた。
それを聞いた周りの方々は、悲鳴の発信源と自分との間を避け、道を作りはじめる。
そこにいたのは、黒を基調にたまに白いフリフリがついたドレスの、ゴスロリファッションなシルバちゃんである。
「あ…あの……その…あの……ぁぅ……」
エリザの発言と周りの注目から、シルバちゃんは顔を真っ赤にしながらもじもじしている。
指をくるくるしながら恥ずかしそうにその場に佇んでいるその姿は、そこらの女の子には真似できないクルものがある。
あーくそ、萌えるなこのやろー。
これで病んでなければ最高なのに。
とかなんとか考えている自分も、やっぱり恥ずかしい訳である。
さらに重い沈黙が嫌いな自分はその空気を打破するべく愚かにも声を発してしまった。
「……あー、シルバちゃん……その……その服、似合ってるね。とってもかわいいよ」
まず自己弁護をしよう。
この発言は自分が沈黙に堪えられずにどーにかこーにか見つけ出した自然と思われる発言である。考えながらの発言により、歯切れも悪いし目も泳いでしまっているが、この言葉に他意は……少ししかない。
だが、周りの捉え方はそうではない。
「ムフフフフ……似合ってるね、とってもかわいいよ、か……こんなに注目されている所でいきなりそれか。いゃぁ、大胆だな、ナルミ。照れながらもしっかり褒める、さすがだ」
「はい?」
「とぼけるでない。そもそも私の服を見て全く無反応だったくせに、シルバの事になると即座に反応する。これが惚れた弱みという訳か」
ムフフ、と嫌らしい上品さのカケラもないような笑いをしながらエリザが話す。
ちなみにシルバちゃんは自分が褒めた事により再起不能、あわあわ奇声を発して手をぶんぶん振っている。
そんな彼女にエリザは近付き、腕を掴んで再び自分の所にやってくる。
「ほれ、悪い虫がつかないようにしっかり護ってやれよ。まぁ前までならともかく、今お前からシルバを奪おうなど考える愚か者などいないとおもうがな」
そういいながら、シルバちゃんを自分の所にポフッと押し渡す。
そしてシルバちゃんはバランスを崩し、自分のお腹辺りに倒れこみ、反射的に自分はそれを倒れないように抱えこむ。
すると途端に周りから“おー”とかいう歓声が。
……うん、気持ちは何となくわかるが、恥ずかしいからやめて欲しい。
「じゃあ、私は戻るがあとは任せたぞナルミ。シルバはさっきからお前
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