29*手袋は投げとらんぞ
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このジュースもあきたし、でも他のは何が入ってるかわからんしなぁ……
「ナルミ!!」
「にょう!?」
いきなり叫ばれ、いきなりヘッドフォンを強奪された。
そして即座にアイアンクローをかまされる。
「き・さ・ま・は私の話が聞こえんのかぁ!!」
その犯人は、猪突猛進という言葉がよくにあう暴走王女、エリザ様でありました。
ピンクいピーチ姫みたいなドレスを着た彼女はめっちゃ口をひくつかせながら、小鳥くらいなら一瞬でヤキトリにできるだけの熱い視線を自分に向けております。
………やっぱこの世界はみんな眼力が凄いんだな。
なぁんて暢気に構えていると、顔がメキメキ軋む気がした。
やばい、顔が部位破壊される。
「すまん、聞こえんかった」
「あぁ!?」
「ごめんなさい、もうしません、なんでもするから許してください」
………チキンと罵るなら罵るが良い。
ただこの眼で睨まれてみろ、青鬼だって友達見捨てて泣いて土下座するぞ。
そしてそんな自分の願いが通じたのか、エリザは自分の顔から手を離した。
「……全く、お前は貴族の自覚があるのか?こういう場はもっと社交的に、家同士の良好な関係を築くものなのに……壁をつくってどうする」
「貴族の自覚?なにそれおいしいの?つか壁つくりたくてつくってる訳と違うし。勝手にみんな自分から離れてくし。」
そもそも貴族なんか、よくわからないっての。
「まぁ、私はお前にそんな事期待はしていないが、せめてもう少しそれっぽくしてくれ。なぁ、ハセガワ子爵」
はい、ここ重要。
子爵、とは自分の貴族としての爵位らしいが……
「うむ、じつは子爵がどれくらいか全くわからん。ぶっちゃけ偉いん?」
自分が知ってんのは、公爵やらの名前だけでどれが上かはわからないのだ。
だから自分が偉いって実感もなければ理解もできない。
わかって軍曹や二等兵や伍長くらいだ。
そしてそんな自分がなんとなしに質問したら、エリザは
「あー、まぁあれだ、伯爵より少し下くらいの………まぁ、そこそこ偉い」
目を逸らしながら答えてくれた。
てゆーかおい。
「………一国の姫として、そこら辺知らないのはどうなんだ?」
こいつ、ぜってーわかってねぇな。
自分のクリティカルな指摘に対し、エリザは慌てながら。
「な!!ち、違うぞ!わからない訳ではない!たた今の奴らに覚える価値がある奴がいないからど忘れしただけだ!!」
「そっちのがヒデェよ。つか、んな事でかい声で喚くな」
こいつの一言で周りにいた貴族方が、一瞬で顔を青くしたり赤くなったり紫に染まったりするのを見て、なんともかわいそうな気持ちがした。
てゆーかこいつ、本当に姫か?
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